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「母 MATKA」【5/17公演中止】

「母 MATKA」【5/17公演中止】

オフィスコットーネ

吉祥寺シアター(東京都)

2021/05/13 (木) ~ 2021/05/20 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

原作はチェコのカレル・チャペック、それを文学座の稲葉賀恵女史が演出した本公演は、大変観応えがあった。原作は1938年に書かれたらしいが、現代でも普遍的と思えるし説得力ある会話劇。もちろん原作の良さはあるが、それを演劇的に観せる巧みさ、その観点から言えば脚本・演出・演技そして舞台美術・技術のどれもが素晴らしかった!
内容は、女と男という性別はもちろんであるが、母としての思いをしっかり描き込んだという印象である。それは特別なことではなくごく当たり前な感情であるが、社会というか状況が異常(非国民的扱い)へと煽るような…。家族の会話を通して、根底にある不条理を浮かび上がらせる重厚な公演。

(上演時間2時間 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台は亡き夫の書斎。中央に両袖机、上手側にはミニテーブルが置かれている。また上部から銃やフェンシング剣が吊り下げられている。下手側には本が積まれ、上手側と対を成すように本が吊り下げられている。小物としての当時のラジオ、蓄音機、複葉機模型、チェス等がある。これらは物語の中ですべて使用され無駄がない。後方はカーテン(紗幕)で、後々重要な演出効果を果たす。
下手側に亡き夫の軍服姿の肖像画があり、本人(大谷亮介サン)が額縁の中でポーズを撮っている。そして妻(増子倭文江サン)だけになると、額を跨いで出てきて、互いに思いを語り始める。この跨ぐ行為によって来世と現世の違いを表すが、物語の展開上あまり重要ではない。何しろ末息子を除く男(父親、夫、息子4人)は全て亡くなっているが、何の違和感もなく幽霊となってたびたび現れ議論(男の立場は議論であるが、母の思いは会話)する。ここに演出上の奇知を感じる。

梗概…母には5人の息子がいた。長男は戦地に赴き医学(黄熱病)研究に、次男は飛行機乗りとして技術開発に、そして双子の三男と四男は体制側・革命側に別れ戦うことになり、各人が名誉、社会的な立場、信念を貫き死んでいく。末息子は夢見がちで、他の兄弟とは違っていた。国では内戦が激しくなり、またラジオからは隣国からの侵略防衛するため国民に戦争参加を呼びかけるアナウンスが続く。隣国の敵も間近に迫る中、母はトニ(田中亨サン)だけは戦争に行かせまいと必死に守ろうとするが・・・。
さてラストは、観客の考え方次第で異なるだろう。

男は祖国、名誉、医学・科学発達、自由・平等といった信念など、何らかの大義のために死ぬ、そのことに悔いはないという。しかし、母は子を産み育てという感情の中で生きている。そう考えれば、この公演―表層的には、戦時下という状況において、男性の志向は国家などの抽象的な論理的概念、女性の思考は家族などの具体的な感情的概念といった性差の違いを観せているが、根底は「反戦」「生きる」とは? を考えさせる人間ドラマと言える。

さて、妻は夫が立派な軍人であることを誇りに思っているが、現実には戦死してしまい葛藤を抱える。その葛藤の表れが、逃避しても「それでもあなたを愛したわ」という台詞。女性の繊細な感情の機微が見てとれる。また息子(長男)についての語らいでは、なぜ自分の息子が危険な地域で黄熱病に苦しむ人々を救うために死ななければならなかったのか? 長男は「医者の義務」だと言うが、母親は「でも、おまえの義務なのか」と問い返す。一方父は、優秀な者が、先頭に立つべきだと言い、息子を褒める。ここに悲しいまでのすれ違いがある。母親にとっては自分の家族が一番大事なのだ。異なる前提からは、異なる結論が導かれる。男たちも、好きこのんで死んでいったわけではない。(幽霊の)父からは、「もっと生きていたかった」という言葉がこの作品により深みをあたえている。

原作の深みをより演劇的に観(魅)せているのが、演出等の素晴らしさ。まず小道具でフェンシング剣や銃が吊り下げられており、時々にそれを振りかざしたりするが、同じように吊り下げられた本は一度も触らない。そこに「武」と「知」の対比をみる。単純ではないが男(父と息子)と女(母)という本作の会話の食い違いを象徴しているようだ。またカーテンに遠近投影を用いた人影は、家族以外の第三者(群衆)もしくは社会という距離あるものを表現し、物語をより家族内の会話劇として際立たせている。同時に人影に銃声や号砲といった音響効果を巧みに併せることで緊迫感をもたらす。

しかし、重厚な作品であるにも関わらず、常に緊張感を強いるだけではなく、ときどきクスッという笑いというか”間”の妙を入れるあたりは実に上手い。もちろんその間合いの上手さは役者の演技力であることは間違いない。安定した演技力に裏付けされた緩急自在の感情表現は見事だ。コロナ禍にあって、このような公演を観ることができて本当に良かった。
次回公演を楽しみにしております。
「母 MATKA」【5/17公演中止】

「母 MATKA」【5/17公演中止】

オフィスコットーネ

吉祥寺シアター(東京都)

2021/05/13 (木) ~ 2021/05/20 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

もう、ただ、ただ素晴らしいのひと言につきる。
戦争を中心にして、話が進む。それでは、全編を通して暗いものだと決めつけていたら、うれしく期待を裏切り、悲惨さが漂うなか、所々で、クスッと笑える。救われる。
幽霊が実際に生きているようで、死んだという悲惨さがないのだ。彼ら自身、後悔などしていないのだろう。
母親役の役者さんの迫力が凄かった。家族を大切に思う気持ち、みんながわかってくれないもどかしさ、必死に訴えているところが、観たあといつまでも残った。
銃声におどろかされっぱなし。そんななか、影絵が慰めてくれた。おもしろい演出だ。
本当良い芝居だった。満席なのも、なるほどと、うなずける。
本当にいい芝居は、だれが観ても素晴らしいと感じるのだろう。

「母 MATKA」【5/17公演中止】

「母 MATKA」【5/17公演中止】

オフィスコットーネ

吉祥寺シアター(東京都)

2021/05/13 (木) ~ 2021/05/20 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/05/14 (金) 19:00

エネルギーが凄まじい。
同じ目線にあまり距離なく舞台があり、一緒に世界に佇んでいた感覚がある。影の演出が、目の前の現実以上に得体の知れない脅威に感じさせられたし、砲撃や、一瞬銃口がこちらを向いた瞬間、、震えた。自分達にはどうしようもない世界の中で、思想や想いがぶつかり合っていた。

興奮し、ヒステリックで、感情的な母も、祖国のために戦うとか何かのために命を捧げることの価値や名誉、誇りが母にはどうせ分からないとかいう家族も好きではないけれど、認めざるを得ないリアリティがあった。なんの疑いもなく自分や自分が信じる集団が正しいと言い張る。ただ、お互いを愛しているからこそ、簡単には対話を諦めないのが救いでした。平行線のまま最後のシーンをどう受け止めたら良いのか、考えさせられる。

超ではない能力

超ではない能力

24/7lavo

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2021/05/13 (木) ~ 2021/05/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

フェイスガードを着用しての観劇。(湿気の関係か)序盤はクリアに表情を接することが叶わず、負担はある。しかし、「対話の妙」を構築していき、気が付かないうちにトランス状態にもっていくあたりが秀逸だと思った。

「役に立たない超能力」、拠り所のないイマドキ若者たちの笑って手に汗握る奮闘劇。

Smells Like Milky Skin【5月8日~5月11日公演中止】

Smells Like Milky Skin【5月8日~5月11日公演中止】

MCR

ザ・スズナリ(東京都)

2021/05/08 (土) ~ 2021/05/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/05/13 (木) 19:00

100分。休憩なし。

「母 MATKA」【5/17公演中止】

「母 MATKA」【5/17公演中止】

オフィスコットーネ

吉祥寺シアター(東京都)

2021/05/13 (木) ~ 2021/05/20 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

“ロボット”の言葉の産みの親であり、手塚治虫に多大な影響を与えたチェコのSF作家の遺作とされる戯曲。ナチス批判を繰り返し、命を狙われ続けていた。
夫と長男を失うも、女手一つで息子四人を育て上げている母親が主人公。夫が戦死したことから戦争と関わることのないよう息子達を教育した筈が、内戦と他国の侵略の危機の中、子供達は自ら戦場に志願していく。
母役の増子倭文江(ますこしずえ)さん始め役者陣の品の高さとぷんぷんする色気が舞台を充満。亡き夫役の大谷亮介氏が三船敏郎っぽくダンディーで格好良い。キーマンでもある末っ子役の田中亨氏がジャニーズ系の美少年。
シリアスな固い話と身構えさせて、実は良質な喜劇でもある。悲劇と喜劇のギリギリの立ち位置で行われる家族対話が痛快。
クライマックスの母と末っ子の遣り取りは『身毒丸』や『毛皮のマリー』を想起させる寺山修司調に。かなりの作家達に影響を与えたであろう古典だ。
非常に味わい深く面白いのでお勧め。

ネタバレBOX

死者と生者が共存する世界観。母親の下に死んだ夫や長男が普通にやって来る。今しがた死んだばかりの次男も、死の報告に訪れる。最終的に末っ子以外みんな死んでしまうのだが、父親含め六人の死者が末っ子の出征を認めるよう説得しに来る。ブラック・ユーモアたっぷりの死者と生者の討論が秀逸。ただその展開がかなり長過ぎてだれてしまいもするが。

前作の戯曲『白い病』では徹底した戦争反対を訴える主人公が群衆に私刑されて無惨に殺されるラスト。今作では小学校への爆撃で沢山の子供が殺されたニュースがラジオから流れ、それを黙って聴いていた母親が末っ子に銃を渡し戦場へと促すラスト。作家の心境の変化なのか、他に何か秘められた意図があるのか?
楽屋 ~流れ去るものはやがてなつかしき~

楽屋 ~流れ去るものはやがてなつかしき~

しむじゃっく

新中野ワニズホール ( Waniz Hall )(東京都)

2021/05/13 (木) ~ 2021/05/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2021/05/13 (木)

価格3,000円

13日19時半開演回(70分)を拝見。

女優A…やまおきあやさん
女優B…米山涼香さん
女優C…片山歩美さん
女優D…白野熊子さん
と、今回は初見の米山さんを除いて、顔と名前が一致する役者さん達の陣容。

さて、過去、何度も観てきた「楽屋…」だが、女優AやBの手の届かなかった大役を、どうして女優Cが掴めたのか、女優C・片山歩美さんの熱演で皮膚感覚で悟ることが出来たのが、今回の収穫か。

ネタバレBOX

それにしても、いろんな団体・ユニットで数多く演じられてきた演目だけあって、演出面で新味を出すのも難しく、役者さん達は過去の上演作の「女優」たちとの比較の目線を免れず…。
演出面では、ナレーションと女優Cのラッシュ&パワーな演技指示がウリなのか。
ナレーションは特段、感想無し。
女優Cへの指示は、女優Cを際立たせることには成功した反面、その後に再登場する女優Dの印象が薄れてしまったようにも感じられた。

【追記】
過去、女優Cの独白中、女優A、Bが舞台上にいるバージョン、いない(あるいは、存在感を消し去った)バージョンをそれぞれ観てきた。
でっ、今回の、”怨念のヒト”女優Cの気迫と、その様子に呆れ・押され気味の”普通のヒト”女優A、Bの表情との対比を拝見する限り、前者のバージョンの方がより効果的かなぁと強く印象付けられた。
勿論、これは女優A・やまおきあやさん、女優B・米山涼香さんの役作りによるアシストあっての効果なのだろうが。
雨が空から降れば

雨が空から降れば

Pカンパニー

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2021/05/12 (水) ~ 2021/05/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/05/13 (木) 14:00

座席1階

 昭和を生きた人なら口ずさむことができるだろう小室等さんの歌「雨が空から降れば」は、元々は別役実さんの戯曲の劇中歌だったという。その戯曲とは別に、1997年に別役さんが曲と同名の戯曲を文学座に書き下ろした。Pカンパニー代表の林次樹さんは別役作品に没頭して芝居の道に入ったという(パンフレット)が、この戯曲を2016年に上演している。今回は別役さんの追悼公演としてコロナ禍、緊急事態宣言の中をいつもの池袋の劇場で上演した。
 別役さんの不条理劇の中でも分かりやすい展開だけに、面白さ抜群である。流しの葬儀屋という発想がまず、ものすごい。何といっても最初のシーンがすごい。
 別役作品にはおなじみの笠のついた電球がぶら下がる「電柱」に、首をくくるロープがついている。そこに棺桶など葬儀一式のアイテムをリヤカーに積んだ葬儀屋が通りかかる。葬儀屋は死んだ人を探していて、別の葬儀屋との縄張り争いがあるというのも強烈な発想だ。
 ほかの別役作品がそうであるように、物語は次々と意外な方に転がっていく。生きていても仕方がないから死ぬのか、死んでもどうしようもないから生きるのか。電柱がある街角に続いて舞台は病院に移るが、縄張り争いをしている葬儀屋が院内を徘徊して「お客さん」を奪い合っている。医者は「あんたらは霊安室にいなさい」と命令するところなど、場面ごとにシュール感があふれる。
 「死を笑う」というのは当然、不謹慎ではあるのだが、ここで笑うのは死だけではなくその裏返しである生をも笑う。人間が心の中に隠している、いや、隠しきれない嫌味な部分を容赦なくさらけ出し、舞台は笑いに変えていく。
 別役作品だからか客席は高齢者が多かったが、若者が見ても絶対面白い。別役さんの追悼芝居はほかの劇団も行うであろうが、Pカンパニーのこの舞台はぜひ見ておきたい。一度見たらやめられないような「中毒性」がこの芝居にはある。見ないと損するかも。

夜から夜まで

夜から夜まで

劇団競泳水着

駅前劇場(東京都)

2021/05/12 (水) ~ 2021/05/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

コロナを自然な感じで取り入れてグダグダっとした大人の恋愛群像劇。
このグダグダっとした感じが飾らない普通の人間らしくて好きでした。
私のような恋愛経験値が低い人間でも、楽しむことができました。
魔法の言葉、さびしいを使っていこうかな。

切なくもあり、笑いもあって良かった
5年ぶりの本公演ということで気合が入った作品でした

ネタバレBOX

デリヘルの電話のやり取りがが生々しくて面白かった。


結婚式場でのやり取りで怒鳴るシーンは、
あえてマスクをつけてから大声を出していたけど、
あれは演出なのだろうか?飛沫防止のため?
意外と怒っていても冷静だったのかな?
ライライライ!

ライライライ!

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2021/05/12 (水) ~ 2021/05/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/05/12 (水) 14:00

座席D列3番

価格3円

実体験に重なり ウルウル(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)でした
感謝です

ジュニアミュージカル 劇団Little★Star-team Spica-vol.2「銀河鉄道の夜」

ジュニアミュージカル 劇団Little★Star-team Spica-vol.2「銀河鉄道の夜」

ジュニアミュージカル 劇団Little★Star(リトルスター)

堺市立西文化会館・ウェスティホール(大阪府)

2019/03/23 (土) ~ 2019/03/23 (土)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★

前回公演『READY GO!』に感激し、楽しみにしてた『RUKIO』が延期…

で、team Spica前回公演『銀河鉄道の夜』を奥様と2人で配信観劇。

40年前に原作読んだが、丁寧なエピソード表現にほーっ!
子供向け明るめ演出にへーっ!
春休み特別企画1000円は超お得!

谷底ガーデン

谷底ガーデン

劇団ルービック◇キューブ

STAGE+PLUS(大阪府)

2021/04/17 (土) ~ 2021/04/18 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

配信観劇
山室のおっちゃんの死。生前の約束通り温室を引き継ぐ筈が…
温室は弁当&手芸&スナック兼業、警察に睨まれ、トラブルの嵐!
ハートフルドタバタコメディ+犯人は誰だ?!
登場人物が皆優しく、笑って笑って、心穏やかに!
面白かった。

ライライライ!

ライライライ!

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2021/05/12 (水) ~ 2021/05/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

当日パンフを見ないまま見てしまって、目を通しておいたほうが良かったのかなと終演後に見たのですが、見ても分からなかったですね・・・というお話でしたが、だんだん分かっていくのが面白かったです。

ネタバレBOX

チラシの印象やヤクザが結婚相談所を始めるというオープニングから、もっとドタバタになるのかなと思っていたのですが、認知症になってしまったお父さんを巡るお話で最後は泣いてしまいました。マスクのせいで聞こえにくいセリフもありましたがいいことにします。
ナイト・クラブ

ナイト・クラブ

黄色団

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2021/04/16 (金) ~ 2021/04/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

千秋楽を観劇。
劇団の4つのオムニバス公演?!

■演劇部
高校演劇の大会が…、人は案外良く見てるよね。

■社員の彼女
社員の仕事は大変で、楽なアルバイトは…

■女難と幼馴染み
結婚だけが幸せじゃ…、再開した幼馴染みからの猛烈アプローチは…

■修理工場の男女
楽しさ寂しさは人其々、幸せって何だろう?
での寂しさは辛いよね…

4つのオムニバス、家族や友、様々な感情が!
故郷の友を思いだしつつ、不義理な自分が悲しすぎる。

お後がよろしくありますように

お後がよろしくありますように

大人の麦茶

ザ・スズナリ(東京都)

2021/04/14 (水) ~ 2021/04/25 (日)公演終了

映像鑑賞

医療従事者です。配信を見ました。

ネタバレBOX

ほぼ毎日、陽性患者と接してる人間からすると、あまりに新型コロナウイルスに対しての認識が自分とは違いすぎて正直最後まで見れませんでした。私たちが陽性者や濃厚接触者にどれだけ神経使って接してるのかなど全く分かってないと感じ、フィクションだと思っても楽しめなかったです。
職場と家の往復だけの生活のなかで久しぶりの観劇と楽しみにしていただけに、Twitterなどで他の方のレビュー見て一般の方はこの内容で楽しいと思えることがショックでした。
最後まで見れば感想は変わるかもですが、自分の毎日の仕事を否定された気がして続きを見る気が起きなかったです。
医療従事者や身近に感染で亡くなった方がいるような方には楽しめない作品だと思います。
ビルマの竪琴

ビルマの竪琴

劇団文化座

俳優座劇場(東京都)

2021/04/15 (木) ~ 2021/04/25 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

映像で鑑賞。劇場に行かれず大そう悔んだが映像配信と聞いて一も二もなく視聴券購入。時間のある日曜夜ゆったりと鑑賞した。
小説も読まず映画も観ていなかった自分には、シンプルな物語素材と構成による本作は新鮮で、シンプルである事の強さに感じ入った。歌われる唱歌もシンプルな旋律のものばかりだが素朴に琴線を叩いて来る強さがある。
演劇のカテゴリー的には新劇の範疇になろう演目、冒頭流れるインストの旋律だけの音楽が、一気に「現代」の時間へと物語を引き寄せた。
舞台はニッパの葉で織った小屋と、薄茶けた兵隊服、背後は恐らく映写でもって和紙を刷毛で汚したような肌合いに、遠く高山の頂き付近と見える稜線がさっと墨で描かれ、全体で見事に調和した絵となり自然の広大さも感じさせる。既に終戦と間もなく知らされる時期、兵士らは長引く駐屯の殺伐を合唱で和ませている・・やや浮世離れした閉じた世界と、外界との対照がいい。
水島上等兵という特異な一人の存在の投げかけるものを、受け止める余地が隊員たちにある。これらの人間像は「戦後文学」(と言われるカテゴリー)の中で、あるいは現実の日本人においても一つのモデルであり、平和憲法を頂く日本の戦後レジーム(安倍が用いたネガティブな意味でなく)の平和思想を象徴するようにも思う。
水島は「目にしてきたもの」を心の内に秘め持つようだが、具体的なエピソードとしては語らず思想の問題として孤独に乗り越えようとし、仏教へ傾斜する。そして彼を遠い人のように眺める凡人らは、しかしビルマに残るという水島を「忘れない」という決意をする。
戦争の惨禍に見合う決意を、今描くとするなら、「水島を忘れない」ではなく「水島が何をどう見たか」を忘れないと言わせたい。だが捕虜生活を終えた兵士らには彼を忘れないという宣言が精一杯の良心の発露であったと想像する。
戦争はそれが終わった時、生存者に様々な恩恵も与えた。だが日本はその恩恵を使い果たしてしまった。

アンティゴネ

アンティゴネ

SPAC・静岡県舞台芸術センター

駿府城公園(静岡県)

2021/05/02 (日) ~ 2021/05/05 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

丸一年お預けを食ったSPAC訪問。休日の小旅行を兼ねた久々の観劇にほくほく。目当ての『アンティゴネ』は2019年NY公演からの凱旋上演が1年越しで実現した舞台(とは前説で知った。何しろ昨年はそれどころではなかった)。
夕刻辿り着いた広大な駿府城公園内の特設舞台は、西向きの客席の前に横広に広がるステージを挟んだ向かいに荘厳な高い壁(足場に網を張ったもの)がそびえ、薄い残照に骨組みが透けている。目の前のステージは全面に水が張られ、下手、中央、上手に石が組まれ、クリーム色の布をまとった者らが火をともしたガラスの器を手にうごめいている。衣裳は一枚物のドレスにターバン、顔の下半分に薄布を垂らした形で、顔が見えないのはもどかしかったが、本編に入って(話者=スピーカーでない方の)演者=ムーバーはいつの間にかマスクを取り素顔を見せていた。アンティゴネの演者を初め若手の新人と見ていたら、終盤漸く美加里氏と認め、驚いた。

開演の合図は鳴り物。団扇太鼓等を手に上手・下手奥からプールサイドの畔を通って6名が道化よろしく登場、観客に向かってフレンドリーに「アンティゴネ」をかみ砕いて概説。だがラスト手前までをほぼほぼ説明し、「さてどうなる事やら」で去ったので、ごっそり省略して終盤をどんな上演に?と見ると、物語はやはり最初からやられていた。

宮城總によるギリシャ悲劇演出の肝は、音楽にあった。もっとも宮城舞台の殆どに棚川女史の打楽器主体の音楽は欠かせないので、言うなれば我々の耳馴染みのある「和」の音を橋掛かりに、翻案されていた。それが明白になるのは吉植氏が日本の盆踊り風の音頭で謡いをやった時。開演時の火入り器の縁をなぞって音を出す導入から、筏を漕いで出る僧侶、彼がラストに水面に流す燈籠と、「弔い」を介在して和洋を取り結ぶ舞台となっていた。

この物語での「悪役」である王クレオンは、アンティゴネ、及びイスメネの二人の兄の死(差し違えによる)に際し、国家への貢献と叛逆それぞれに報いる扱いをする。即ち弟エテオクレスには天に送る弔いを、逆賊の兄ポリュネイケスは遺体を放置し、弔った者を死罪にするとのお触れを出す。見せしめの処置である。これについてクレオンは政道に従ったのみと自らの哲学を語る場面がある。
だがアンティゴネはお触れに背き、兄ポリュネイケスを土に埋葬し、三度水を垂らす正式な儀式で天に送る。妹イスメネは姉の身を案じ、自分も死んではならない、姉が行くなら自分も行くと説得しようとするが、アンティゴネは決意揺るがず妹をこれに加担してはならぬと制止する。
王の死とその息子兄弟の死により王位を継承する事となったクレオンは、アンティゴネら兄妹の叔父に当たる人物だが、アンティゴネはクレオンの息子、ハイモンの許婚でもある。アンティゴネの所行により、クレオンは息子の許婚を処刑せざるを得ない巡り合わせとなるが、父は「政策の一貫性」にこだわり、庶民の間にアンティゴネの所行を賛美する声もあると聞いても曲げようとしない。
この父に対するハイモンの説得場面が「歌う」ギリシャ悲劇のリズムを逸して、現代的な高速台詞での議論となる。政策の失敗を認めないためだけに「政策の一貫性」にひたすらこだわり続ける様は、日本の現政府の態度そのものだが、その愚かしさをこの場面はあぶり出す。弁の立つ議員とそれに答えようとする大臣が居れば、このようであろう国会質疑を見る感覚である。

ハイモンの必死の説得の後、クレオンはアンティゴネを洞穴に閉じ込める(これは餓死に導く死罪に当るのか本人の努力次第で生き延びる余地がある措置なのか不明)。ただ物語は、アンティゴネの自死とその後を追ったハイモンの自害が「事件」としてもたらされ、王は初めて悔い己を死をもって罰せよと天に叫ぶ。(二人の死がまとめて事件として伝えられるので、ハイモンの死だけが予期しなかった事件なのか、アンティゴネの死も事件の範疇なのか不明、作者はうまくぼかしている?)
クレオン「気づくの遅いよ」と、突っ込みが入りそうになる。
じつは解決法は簡単で、現代の我々ならこう整理する。
アンティゴネの「弔い」は肉親の情愛からのもので「個」に属し、クレオンの処置は国家としての処置であってそれはそれで成り立つ。個人は弔い、国家は死者に罰を与えた、で終われば良い。つまり「奴を弔った者は死罪」が余計なんである。
逆賊を他者が弔うならそれは政治的な叛逆の姿勢の表明になるが、肉親が弔っても世人の理解も得られる(王への叛逆とは考えない)。お触れの出し方がまずかったんでしょ、で収まってしまうと言えば収まる。

それでもこのお話、見始めて暫くは、以前新国立研修所の『アンチゴーヌ』を観て今一つであった事を思い出したが、時間を追うごとに普遍性の土台をもって迫ってきた。

ネタバレBOX

アンティゴネの哲学とクレオンの哲学、この二つは一見、政治論としてはどちらが正しいとも言えない気がする。

だが、「死者は弔われるべきだ」とのアンティゴネの思想は、生前その者が何をしようと、生を全うした者に敬意を払うべきだ、と翻訳できるだろうか。
ポリュネイケスが叛逆した「国家」とはその時点での国家でありポリュネイケスは本来あるべき国家を望む故にその時点での国家に叛逆したのかも知れない。(その辺の事情は出て来ないが、死者を冒涜するだけの正邪の確かな審判など人間には出来ない、との含意は認め得る。)
この点でのアンティゴネの(直感的な)正しさに対置されるクレオンの思想は、実は対置するようなものではなく、他者の言葉をもはや聞き入れない自己絶対化に陥った愚者の「行為」であり、議論の成立しない関係とみるのが正解ではないか。

ありきたりな結論ではあるが、これを今に振り向けると、国会の議論がこのサンプルになり、これを我々は追認しているのではないか。
つまり・・野党が「議論に値する相手だ」との想定で与党へ質疑を試み、時に「共同して」成立させてきた法案が、どれも不正解に思える。問題を解決するどころか山積する問題を積み上げた政権には、クレオンに対するハイモンのように「対決」こそ必要なんでないの?という事だ。
「政治」に参与している実績を積みたいためだろうか、野党は愚か者を「相手にしている」。これでは公明党と同じ、「最悪の法案を通されるよりは少しでもマシなものにする事で貢献する」の論理に埋もれてしまい、「野党も与党も違いが判らない」状態にまたぞろ近づくだけではないか。
コロナ特措法、デジタル法案、問題ありの法案になぜ賛成してしまうのか。それは議論する相手でもないクレオンに対決せず、譲歩を引き出すためだと(傍から見れば)政権にすり寄り、ありもしないメリットを得ようとしているからではないか。。私には自民側が譲歩できる余地を残し、野党に「参加意識」「やってる感」を与え、ガス抜きしてるだけでないかと思える。まんまと手玉に取られている。

話がだ~いぶ逸れたが、古今東西人の過ちというものは変わらぬ。そして人々は「見えて」いても、無力。だから物語を見ようとする。自分を持ちこたえようとする。
堕天使は薄い本を閉じて

堕天使は薄い本を閉じて

E-Stage Topia

上野ストアハウス(東京都)

2021/04/29 (木) ~ 2021/05/09 (日)公演終了

映像鑑賞

鑑賞日2021/05/09 (日) 13:00

価格3,000円

チーム内回り千穐楽を配信で観劇。
ぶっとんだ内容を大真面目にやることに意義がある。
セリフに含まれる大量の駅名の全てを把握しきれないところはもどかしい。ちょいちょい差し挟まれるので、台本が欲しいくらいである

舞台『菅生ゼミ休講のお知らせ-再々演-』

舞台『菅生ゼミ休講のお知らせ-再々演-』

【菅生ゼミ休講のお知らせ】製作委員会

新宿スターフィールド(東京都)

2021/03/31 (水) ~ 2021/04/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

持田千妃来さん出演。Cチームを観劇。
再再演ということで題名に「3期」がつきました。持田さんは再演の前回では桃瀬役でしたが、今回は青木役。まったく違う性格、どちらも良かったですが、青木役のほうが合っているように思いました。
今回の桃瀬役は花梨さん。いわゆる不思議ちゃんの役、予想通り、ぴったりでした。
Cチームは計6公演で、1,2,3,6回目の計4公演を観劇しました。毎回楽しかったです。

ネタバレBOX

演者の皆さんは靴裏に絵の具をつけて演技します。基本的に各自を象徴する色で、青木役は青、黄田役は黄色、という感じです。
床に敷かれた大きな2枚の布には、演目が進むにつれて靴によってさまざまな色が付けられていきます。赤、黄、橙、緑、青、桃、紫の7色かな。
茶色と黒は特別で、最後の仕上げのときにだけ使われました。茶色は木の根元の土を表現、黒は全体のサイン「Sugaizemi」の文字として。
そして2枚の布をつなげて、ひとつの絵が完成します。公演ごとにできあがる作品はお見事でした。
青と紫の手形は、蝶を表現していると解釈しました。

電気のビリビリペンのシーン、1回くらい本物でやって欲しかったです。盛り上がったと思います。
みんなが手をつないで電気ショックを受けるシーン。電気が波のように伝わってショックを受ける演技でしたが、残念ながら不自然でした。本当に電気ならば同時なので。これも1回本物でやったら良かったと思います。とても盛り上がったに違いありません。

Cチーム2回目の公演だったと思いますが、桃瀬役の花梨さん「名古屋でネイルサロン」に対して紫水役の詩えりさん「なんで神戸?」という、変なところがありました。台本では神戸ですが、なぜかこの回だけ名古屋と。
お月さまの悪戯

お月さまの悪戯

劇団CANプロ

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2021/04/23 (金) ~ 2021/04/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

設定や展開には工夫を凝らし、興味を持たせようと努めていたが、何となく予定調和でインパクトが弱い。たしかに観劇後は優しく心地よい気分になる。しかし、観念ではなく、もう少し感情が全(前)面に溢れてもよかったと思う。

(上演時間1時間20分)

ネタバレBOX

物語は養護施設で育った女性を中心に、4月に起きたある「奇跡」について描かれる。舞台は茨城県土浦市にある ごはん処「こじま」の2階。ここに養護施設で育った渡辺希望と青木恵子が住んでいる。養護施設で働いていたこの店の女将・小島里香が施設退所年齢になった2人を自宅に住まわせ10年近くが経っている。希望は文通をしており、その相手が藤田奈緒という自分と同世代の女性。そして近々会うことになっていたが…。

2019年4月上旬から5月初旬の約1か月弱の物語(カレンダー有)。今時のコミュニケーション手段として”文通”は少し古いように感じたが、そこがこの物語の肝。時間を遡行させるような展開であり、後々、文通相手との因果律がみえてくる。概観として、背景にある養護施設育ち、そこでの境遇と今現在の生活環境への連続性というか影響が見えてこない。かろうじて施設育ちの自分(希望)が幸せな結婚生活を営めるのか、彼氏からのプロポーズを素直に喜べないといった悩みが見えること。一方、同じ施設育ちの恵子は窃盗癖があり、それが施設の時から直らないという性癖を時間の流れに取り込んでいる。さらに性癖を克服しようと…。彼女たちと2人を温かく見守る女将、そして謎の文通相手・奈緒、この女性4人の会話は、途中から結末が分かってしまい、パラレルワールド的な展開が透けて見えてしまう。設定と展開に工夫を凝らし、親・子の問題(養護施設-ネグレクト、女将の思い-不妊治療等の台詞)に迫ろうとしている。が、表面上-言葉だけで物語全体からその思いが伝わらない。そこにこの公演への もどかしさを感じた。

気になったのが演技。何となく演じていますといった不自然さ。特に顔(表情)の変化はワザとらしい。
タイトル「お月さまの悪戯」は、4月の”ピンクムーン”がある奇跡を起こすという意らしいが、もう少し時間軸を長くし「親から捨てられた子」「不妊治療しても子宝に恵まれない親」という両観点から語るのではなく、どちらかに重きを置いたほうが物語としては分かり易かった。
次回公演を楽しみにしております。

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