父と暮せば
こまつ座
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2021/05/21 (金) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
アルビオン
劇団青年座
俳優座劇場(東京都)
2021/05/21 (金) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
蝶の筆
CROWNS
王子小劇場(東京都)
2021/05/12 (水) ~ 2021/05/23 (日)公演終了
映像鑑賞
満足度★★★★
四カメ配信版を観劇。定点との大きな違いは表情の解像度。個別の役者さんの情報量としては雲泥の差。定点で見ていた時はみえているつもりでも割と見えていなかったんだなと痛感。残念なのは定点版と四カメ版は配信時期がずれており並行して見ることができない点、4カメ版が切り替えを基本台詞を話している役者さんにする感じなので台詞のやり取りのある場面では画面の切り替えが多く見にくく感じた。台詞を話している役者さんではなくセリフを聞いている役者さんを写す方が良い場面もあるかと思うのでもう少しカメラの切り替えについて演出が絡むとか、通し稽古などにも撮影班を参加させてしっかりプランを立てるなどしたほうが良いのではと思った。定点とは別日かつ先に定点を見て大枠は把握済みだっったこともあり定点を補完する映像として非常に満足できた
獣唄2021-改訂版
劇団桟敷童子
すみだパークシアター倉(東京都)
2021/05/25 (火) ~ 2021/06/07 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/05/27 (木) 14:00
座席1階
前回も☆5つを付けた感動の舞台。今回は2021年改訂版と銘打っている。やっぱり足を運んでしまった。
国家総動員法が制定され、戦時色が濃くなっていく九州の山村。ここの断崖絶壁に咲くという、幻のランを追い求める「ハナト」(ランを取る人)一家の物語だ。
ハナトである村井国夫の低くてよく通る声に舞台は引き締まる。その3姉妹は前回と同じ顔ぶれだが、明らかにパワーアップしていた。
断崖絶壁を登り、珍しいランを取ってくるという物語の筋を追っていくだけでも、この3姉妹のきびきびとした演技で、舞台から目が離せない。さらに今回、自分の胸に刺さったのは、戦争に対する憎しみをぶちまける一言だ。前回もこの場面はあったと思うが、思わず体が震えるような感覚だった。
客席は熱い。3姉妹を次々に襲う悲劇に、涙が止まらない女性も複数いた。舞台装置は前回の方が派手だったように思えるが、山の猛吹雪などは相変わらず迫力満点だ。
映像で見ても味わえない迫力と、それとは別にガンガン伝わってくる何かがある。やはり、舞台でないとだめなのである。予約で満席の客席がその答えだ。
いい舞台である。再演、ありがとうと言いたい。
溢れる
劇団5454
赤坂RED/THEATER(東京都)
2021/05/26 (水) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
フェイクスピア
NODA・MAP
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2021/05/24 (月) ~ 2021/07/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
NODA・MAPは申し込んでは外れ、申し込んでは外れの繰り返しだったが、コロナのせいで応募者が減ったのか初めて観ることができた。求刑、いや休憩なしの2時間5分。
題名の通りに Shakespear の fake から始まり、いくつも支点を移動して全く別の方面へと進んで行く。あれがこうしてこれがああしてと書きたくなるがそれは販促、いや反則。それに1回観ただけではよく分かっていないところがたくさんあって誤解したまま書き込むのも恥ずかしい(いつものことだけどww)。
高橋一生さんは硬軟自在の変化が美しい。最近TVドラマをあまり見ていない私にも人気の理由がよく分かった。そして前田敦子さんは立派な女優さんだった。嘗めててごめんなさい。そして私の一番の推しは村岡希美さん。若々しく小気味良いセリフ回しが壺だった。
いやあ、もっと応募して何回も、できれば前方で観たかった。久しぶりに悔しい。
*追記
上手または下手あるいは両方から幕が出て来て、反対側に去っていくと舞台がすっかり変わっているのは野田秀樹さんのオリジナルかと思ったらブレヒト幕というのだとパンフレットを読んで初めて知った。昨年の「真夏の夜の夢」の場合はブレヒト板というべきか。
JACROW#30『鋼の糸』
JACROW
駅前劇場(東京都)
2021/05/26 (水) ~ 2021/06/01 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/05/26 (水) 19:00
初ビジネス劇、かなり楽しめた。直接的な理由ではないがこのままだと出世や社内政治にとらわれる職業人人生になるかもしれない危機感が心の片隅にありつつ転職が決まっている絶好のタイミングでの観劇になった。
現職のわりと新しい価値観で合理的かつ成果主義な環境しか知らない自分には、舞台の世界がファンタジーに見えるくらい遠い世界に見えたけれど、一部通じるところもある。これからどこを向いて仕事に取り組みたいのか、改めて気持ちが高まった。
ビジネスという身近な題材だけに、登場人物一人一人の状況や心情を自分の職場の人達にも重ね合わせながら観るのが楽しい。
獣唄2021-改訂版
劇団桟敷童子
すみだパークシアター倉(東京都)
2021/05/25 (火) ~ 2021/06/07 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
前回、五日目の公演後主演の村井國夫氏が軽度の心筋梗塞で降板。三日休演の後、原口健太郎氏を代役として公演再開。自分は初日に観ていたので、これらのニュースに心底驚いた。自分の観たその年ベストの舞台であったこともある。
村井國夫氏主演での改訂再演の知らせに「もう一度観れるのか?」とそれにも驚いた。
こんな作品を現在進行系で生み出せることに、コロナにも何某かの意味はあったとすら思える傑作。
ハナトと呼ばれる珍しい蘭を採集するプロ(プラントハンター)と不要不急の現実社会では必要なしとされる演劇(役者)とを掛け合わせている。時代の要請で花の売買を禁じられ、生活に困窮する関係者達、「一体どうしたらいいのか?」とハナトの村井國夫氏に尋ねる。「ワシは花のことは何でも知っておるがそれ以外のことは何も判らんのじゃ」と頭を抱える村井氏。
茸採りの名人役の鈴木めぐみさんが脇をきっちり固めて印象的。もう一人の主人公と言ってもいい原口健太郎氏の存在感と巧さ。原口バージョンの『獣唄』も観れば良かったと今更ながら後悔。
コロナ禍に対する演劇界からの一つの回答がこの作品である。
獣唄2021-改訂版
劇団桟敷童子
すみだパークシアター倉(東京都)
2021/05/25 (火) ~ 2021/06/07 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
劇団桟敷童子らしい舞台美術と演出、そこに描かれる人間模様は実に悲しく儚い。が、一方で逞しい生命力を思わせる、その人間賛歌に身魂が震(奮)える。
初演(2019年12月)は観ていないため、どこを改訂したのかは分からない。
ところで、公演の当日パンフには「『獣唄』の再演をやると決めたのは去年の1回目の緊急事態宣言中である。(中略)得体の知れない何かが僕を搔き立てた。何故かしら『獣唄』をやらなければならないと思ったのである」と書かれている。
何となくだが、その理由が分かったような気がした。
(上演時間2時間 途中休憩なし)
東京ゴッドファーザーズ【5月2日~5月11日公演中止】
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2021/05/02 (日) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2021/05/25 (火) 14:00
座席1階C3列7番
まず、今敏のアニメの舞台化表現についての評価。
舞台に段差を現出させ同時進行の話をうまく並行化して見せたり、段差は、その他ビルの屋上、電車内の風景、河川沿いの道端などになり、よくぞ多種多様な光景を見せた。細かい舞台小物の置き換えで、路地、墓場、廃屋、公園、病院、都内一周ロードムービーの場面転換を手際よく展開する手腕には、ただただ肝心するしかない。
特に、ラスト近く、赤ん坊を負ってのカーチェイスの場面は、タクシー、トラック、自転車、皆ハンドルと乗り手の配置だけで、疾走感一杯に再現される。
「東京ゴッドファーザーズ」の二次元を、舞台という生の時間的・物質的制限の中で再現した事実には、拍手を送りたい。
松岡、マキタ、みゆきの呼吸もよく合い、ストーリーは淀みなく進み、そう私の知っている「東京ゴッドファーザーズ」のラストのみゆきと父の邂逅シーンに至るのだ。
とここまで書いてきて、私は何を観ていたのかとふと考える。私は何を観ていたのかと。
私は、舞台を観ながら、常にアニメの場面を頭の中で再現していた。あのシーンだ、このシーンだ、そうアニメと比較しながら。私は舞台を観に来たのか?
この舞台を観に来た人は、今敏のファンという方も多いだろう。予習としてアニメを観てきた人も多いと思う。さて、まっさらで観た方々は、どんな感想を持ったのだろう。ある意味、その無垢な鑑賞眼は、この舞台をどう評価するのだろう。
うーん、私にはあの傑作アニメの舞台での再現を観ることしかできなかった。だとすれば、
この公演にあった価値は何だったのかな、と思う。今敏マニアとしては満足、でも舞台演劇として何か楽しめたもの・発見しえたものはというと、それが出てこない。
DOORS
森崎事務所M&Oplays
世田谷パブリックシアター(東京都)
2021/05/16 (日) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/05/25 (火) 18:00
倉持らしい不思議な芝居で、面白かった。
元々は2014年のペンギンプルペイルパイルズ『靴』をベースにしたらしいが、それは観てない。パラレルワールドものによくある「となりの芝生」的な作品だが、同じ役者が両方のワールドを演じ分ける面白さもあって、見応えはあった。テレビでよく観るようになった奈緒は、舞台3作目だが堂々たる存在感を見せ、母親役の早霧は『ゲルニカ』でも観たが、元タカラジェンヌスでもトレートプレイでしっかり演じられるところを見せてくれる。菅原・今野に致っては言うまでもない存在感。
アルビオン
劇団青年座
俳優座劇場(東京都)
2021/05/21 (金) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
いかにもイギリスのウエストエンド新劇と言う感じの作品だ。2018年の初演。
イギリスの劇作家が、自らの市民生活の中に分け入っていく技術は大したもので、この作品にも若い作家なのに、その伝統が遺憾なく発揮されている。アルビオンと言うタイトルは日本でいえば、「みずほのくに」。自国の伝統庭園に託して、現代人間模様を描いて見せる。伝統を保守することの難しさをその場限りの政治アピールにしないで、自国に根強く残る階級社会、性差別、家族・親子関係、地域社会の「伝統」にも万遍なく目配りして描いていく。ようやく40歳になったばかりの作家とは思えぬ熟練の技で、こういう作家を育てて、劇作家だけでなくテレビや映画でも使って世界的作家にしてしまうところは演劇王国らしい。余談になるが今映画が評判になっている「ファーザー」の脚本もクリストファー・ハンプトンで、若いころは20歳代でデビューした演劇界の麒麟児、日本でも、三十年前、まだ彼が三十代のころ「金環食」やいくつかの作品は上演した。ファーザーの原作はフランスの劇作品だが、映画を見るとタイトルは原作よりアカデミー賞作家ハンプトンの方が大きい。ピンターはノーベル賞だ。作家の成長を社会も後押ししている。
イギリスの作家のうまいところは、ドラマを一筋縄ではくくらいないところだ。それでいて、さまざまな観客を自分の世界に取り込んでしまう。
青年座は十年ほど前から、翻訳劇も手掛けるようになった。劇団員はプロデュース公演にもよく起用されるから劇団外で翻訳劇の経験はあるのだろうだが、そういう場では演技が型通りになりがちだ。主人公の夫、隣家の主人、庭師、召使、など、よくわかるけどもう一工夫できるところだ。
津田真澄も小林さやかも那須凛も過不足なくうまいのだが、舞台には華がほしい。
青年座は、日本の創作劇を目指してきたが小劇場全盛時代になって、椎名麟三、矢代静一の流れの新劇からは作家も出てこなかった。しかし、海外作家に突破口を見つけようとした時に、サルトル、とかベケット、あるいは手っ取り早い社会問題劇ではなくて、いまの大衆が見る演劇を選んだのはなかなかの慧眼だった。日本でも若い作家は小劇場離れで、古川健、横山拓也、桑原裕子、加藤拓也、注目の新人はみな小劇場の限定された観客ではなくて、普通の日常の中で演劇を見ている。青年座もいち早く彼らの作品を取り上げているが、そこで、このような海外作品に触れる経験が一層の成熟をもたらすことを期待したい。
獣唄2021-改訂版
劇団桟敷童子
すみだパークシアター倉(東京都)
2021/05/25 (火) ~ 2021/06/07 (月)公演終了
ピサロ
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2021/05/15 (土) ~ 2021/06/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/05/23 (日) 14:00
この貴重な再演の機会に観ることができて、良かった。wowowの放送で少し観た後の観劇で、改めて生の価値を感じた。言葉による背景の表現が多く、集中力、想像力が必要。
信仰の違いによる争い(実際には富や領土が欲しいだけ?)はこうやって起こるのだということを、目の前で観た。神という存在を信じてこなかったので、信じ込む姿が新鮮だったけれど、これが世界で、歴史なのだと理解した。
定められたレールに乗れば全てを与えられ、幸せに暮らす人々と、自由だが、一寸先の闇と貧しさ、欲望や栄光にうごめかせられながらの荒波に生きる人々。後者で苦しむ立場にいる人が、自分の世界を肯定するのが印象的だった。
王が綺麗すぎて見惚れた。
フェイクスピア
NODA・MAP
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2021/05/24 (月) ~ 2021/07/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
各チケットサイトの先行抽選で20公演以上の希望を書いてなんとか取れた2枚のうちの1枚が今日の初日で良かったです。
割と始めのあたりでその事象の意味を教えてくれるので、置いてきぼりにならなくてすみました。最後のその言葉の一群は胸が痛いです。
ビニールの城【5月8日~5月9日花園神社公演中止】
劇団唐組
花園神社(東京都)
2021/05/08 (土) ~ 2021/06/03 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
神谷バーでトリス(国産安ウイスキー)を飲んでベロベロになっている男、隣の止まり木に腹話術の人形を置き独り言を呟いている。カウンターの上には封の切られていない昔懐かしのビニ本(無修正のエロ本)が酒の肴なのか鎮座して、何処かで見たことのあるような気がする表紙の女が黙ってこちらを見詰めている。男の呟きは酔いと共に勢いを増し、何だか文学めいた詩人めいた文言を発するのだがいよいよ意味は掴めない。
そんな舞台。
父と暮せば
こまつ座
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2021/05/21 (金) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/05/24 (月) 14:00
座席1階
1994年の初演以来、コンビを替えて上演し続けている。こまつ座のDNAとも言える代表作だ。本日は幽霊の父親役が山崎一、広島の原爆から「生き残ってしまった」娘を伊勢佳代が演じた。
理不尽な戦争、災害。その惨禍を生き抜いた人はよく「自分だけが生き残ってしまった」という言葉を絞り出す。死んだ者は、「生きているだけで幸せ」と生き抜いてほしいと願う。だが、生き残った者は生きているという「罪」を悔い、重荷として背負う。
この舞台では、死んでしまった父親が幽霊になって娘の元に顔を出し、その恋を応援する。相手はとてもいい人のようで、娘も好意を抱いているのだが、「自分だけが幸せになってはいけない」と相手を避けようとする。それをユーモアたっぷりに諭しながら応援する父の姿がとてもいい。実際に父と娘が生きていたらそういう家族関係にはならないのかもしれないが、包容力豊かなお父さん、というキャラクターで、客席をほっとさせる。
二人とも再演の舞台だけあって、切れ味があるというか、緩急をつけたテンポのいい見事な演技だった。息がぴったり合っていて、原爆投下での惨状の場面などは、客席の感涙を誘う。
いい舞台というのは、何回見てもいいものだ。こまつ座おすすめの通り、続いて上演される「母と暮せば」とセットで観劇したい気持ちになる。
家族のはなしPART1 2021
(株)モボ・モガ
KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)
2021/05/14 (金) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
草彅剛を軸にしたコント集。大阪のCMクリエーターの二人の作・演出で、東京の観客は見慣れていない面白さだ。東京にもナンセンスやコメディはあるが、ケラとも違うし、三谷とは異質だ。今までの演劇の約束ごとを無視しているような、うまく使っているような異色の舞台になった。
「わからない言葉」は生活規律のだらしのない夫(羽場)と几帳面な妻(小西)の中年夫婦に飼われている犬・ハッピーを草薙が演じる。犬や外国人を含めた現代の市民生活で、言葉のコミュニケーションの可能性をめぐるコントである。
約束をすっかり忘れていた夫の中央アジアの友人(畠中)がガールフレンド(小林)とともにやってくる。かつてその国で働いていたのに、夫はすっかりその国の言葉を忘れている。
犬と人間の間に、また人間と人間同士の間に、どちらが言葉が通じるか、音楽なら通じるのか、といった下世話でもあり、広げられる話題でもある素材をもとにナンセンスなドタバタが展開する。
犬にわかる言葉はゴハンとサンポ。中央アジアの国の言葉はもう完全に分からない。友人が連れてきたガールフレンドの衣装は異国風で、言葉も中央アジアの言葉を話すのだが、やがて、実は日本人で通訳だということが分かる。こういう仕掛けが効果を上げている。
これだけよく出来たコントにはなかなかお目にかからない。
それは二話の「笑って忘れて」も同じで、こちらはリモートで働いている夫〈草薙〉と妻(小西)の物語である。記憶喪失症にかかった妻の取り違え劇(であることがなかなかわからないように舞台が進行する)が、結局は夫婦愛の物語になっていく。一話とは違うテイストのコントで、夫々1時間。間に休憩がある。
どちらのコントも、笑劇らしい無理な設定をしているのだが、本がよく出来ていて、素直に楽しめてしまう。俳優も、関西にありがちはオーバーな演技が臭くなる一歩前で寸止めしていて、そのへんの呼吸が揃っているのもうまい。草薙の犬は犬らしいところを形では全く見せていないのに、犬の役になっている。ほかのベテランの配役もハマっていて、特筆するとすれば小林きな子。二話の会社のドジな同僚もうまいものだ。あまり東京では見ないがはじけている。初演は二年目に京都で上演していて、その時の羽場の役は池田成志だった由だが、羽場は池田とは別の面白さを出していると思う。
作・演出の演劇経験はサラリーマン劇団と紹介されているので、ふと気が付いたのは、80年代後半に旗揚げした喇叭屋である。主宰した鈴木聰も確か電通の腕利きの宣伝マンで、旗揚げしたときは確か「サラリーマン新劇」といっていた。作風も内容も違うが、今の生活者にエンタテイメントとしての芝居を、広告という無名の場所から発言してきたことでは通底するものを感じる。その精神が、舞台に生きている。
神奈川なので、土曜の夜の満席の客席の劇場は東京のぎすぎすした自粛劇場とは違う和やかさがあった。さらに言えば、、コロナ禍でジャニーズタレントのファンクラブのリピーターに頼った大劇場の公演を数多く見たが、この公演は唯一そういう勘定ずくをバランスシートの片側に置かないでも見られた愉快な公演でもあった。
姿
ゆうめい
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2021/05/18 (火) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
姿
ゆうめい
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2021/05/18 (火) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
開場後の自由席は遠方から来る客には辛い。
電車の止まるリスクなどを考えると、
相当早く出なければいけないので座席指定ができる指定席にしてほしい。
劇の内容とアフタートークの温度差がかなりあった、
アフタートークを聞くとそんなに複雑な家庭環境だったのだろうかと
思えてしまう。
劇自体はフィクションと言っているが、フィクションに思えない部分もあり良かった、手法としては弟兄と似たような感じで、
それを親子に置き換えた感じもしないでもない。
次はドローンでも飛ばすのだろうか?