容疑者Xの献身
ナッポス・ユナイテッド
THEATRE1010(東京都)
2021/05/28 (金) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
初演は2009年、キャラメルボックスで、座付きの作者による作・演出だ。劇団は数年前に消滅したが、石神哲哉役の筒井俊作、天才科学者・湯川学教授役の多田直人をはじめ、
渡邊安里(女主人公)主なキャストは残っている。脇役には懐かしいキャラメルボックス風のマンガ演技なども見られる。観客も引き継いでいるらしく、二十歳前半も含め観客は若く、舞台にやさしい。しかし土曜日夜6割と言う入り。6,800円は高いのかもしれない。
原作はミステリの賞も受けている人気作家の代表作だ。専門作家だけあって、ミステリ的な企みが至る所に張り巡らされている。劇化の大きな難関になるのは多視点で展開しなければ成立しない物語構成になっているところだ。それはアリバイ崩しがメインに置かれているミステリの宿命でもあるのだが、成井豊の脚色は語りをうまく使って、入りくんだ原作の要素をすべて取り込んで、どんどん進む。話は賞を受けたくらいで面白くできているから若い観客は吞まれたように見ていて最後には温かい拍手で終わる。
原作を一気読みで見ているような感じである。その分、大学生時代の同級生が、敵味方になって謎を解きあう、とか、女主人公の人間性などは薄味になってしまった。舞台のテンポも演技も一本調子で膨らみがない。キャラメルボックスである。
ひさしぶりに舞台を観て、やはり、ここと、スタジオライフはいま多く演じられている2・5ディメンション演劇への道を開いたと思う。その功罪は一言では言えないが、どこも観客が純朴な十代から20代の若者であったことは考えていいだろう。夢の遊民社も第三舞台も最初はそこから出発した。脱皮していった彼らの後に観客だけが取り残されたような気もする。
JACROW#30『鋼の糸』
JACROW
駅前劇場(東京都)
2021/05/26 (水) ~ 2021/06/01 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
昭和・バブル期(1980年代半ば)から平成(2019年頃)にかけての約35年間のビジネス史を、ある合併企業内の出世競争を通して描いた骨太作品。合併するまでのダイナミックな過程はサラッと流し、拮抗していたライバル会社で働いていた人々との出世競争(勢力争い)、及び現代の労働環境の変化、時代状況や社会事情に翻弄されるサラリーマンの悲喜交々を描く。もっとも悲哀がほうが前面に出ていたが。
何となく自分が働いていた(現在も進行形だが)時期に重なるので、懐古的な気分で観劇。ただ、合併後の組織内という観点が、物語の世界観を小さくしているような気がした。
ちなみに「鋼の糸」とは、実に含蓄あるタイトル。観劇しないとその意図が解らない。
(上演時間2時間 途中休憩なし)
溢れる
劇団5454
赤坂RED/THEATER(東京都)
2021/05/26 (水) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
夏祭浪花鑑【5月6日~5月11日公演中止】
松竹/Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2021/05/06 (木) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
NEW MUSICAL「プロローグ」
劇団BraveHearts
中目黒キンケロ・シアター(東京都)
2021/05/27 (木) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
まず、とても面白かった。友人といきましたが友人も絶賛でした。内容も歌も耳にも心にも残って、こんな時期ですが、とても心に残る作品でした。こんな時期にありがとうございました‼️
みえないランドセル
演劇集団 Ring-Bong
こまばアゴラ劇場(東京都)
2021/05/13 (木) ~ 2021/05/23 (日)公演終了
容疑者Xの献身
ナッポス・ユナイテッド
THEATRE1010(東京都)
2021/05/28 (金) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/05/29 (土) 13:00
元々、原作が好きだった上、舞台として間近に芝居が観られて良かったです。
舞台美術の転換も良かった。
フェイクスピア
NODA・MAP
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2021/05/24 (月) ~ 2021/07/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
もうかれこれ四十年昔、まだ、野田秀樹が東大構内で芝居をやっていたころ、NHKの最近の若者に聞く番組(たしか「若い広場」)で、野田秀樹は昂然と、「僕の目標は日本のシェイクスピアになること」と言っていた。この記憶に残る発言(たぶんNHKのアーカイブにあると思う。)の念願かなって?、野田秀樹がシェイクスピアとその子のフェイクスピアを演じる「フェイクスピア」が幕を開けた。
劇作家の正念場である言葉の力をテーマにしたコロナ禍の新作で、今や、日本の演劇界のリーダーになった野田の、現在の状況を踏まえた作品ではある。
恐山のいたこに謎の箱に閉じ込められた言葉を再生させようとする男(高橋一生)物語を軸に、シェイクスピアの大四大悲劇の言葉をさまざまに引用しながら、言葉の持つ真実と虚偽へと物語は進んでいく。野田戯曲の例によって、幕による素早い舞台転換と、速いテンポで、今求められる言葉のクライマックスへ。森で無音のうちに倒れる大木や鳥の世界のような自然現象が、星の王子様の空の世界を引き出し、そこに絡まる人間の言葉が最後の場につながっていく。いつも以上に強引極まりない連想の世界は2時間休憩なし。
この時期に、切り札だったかもしれない、シェイクスピアの札を切ってきた野田の真意はわからないが、ここのところの世間の無責任な言葉の上滑りに、演劇人としての怒り爆発であったのだろう。
それはわかる。しかし、少し急ぎすぎていないか。
例えば、最後のクライマックスのシーンは確かに観客の息をのませる演出ではあるが、その中の、ノンフィクションの言葉にすべてを託していいものだろうか。
シェイクスピアに対して自分の役をフェイクスピアに託するのは、単なる韜晦趣味ではないだろうか。
コロナ禍で条件も悪かったのだろう。五日目の舞台を観たが、野田の公演としては不十分なところが目立った。
落ち着いたらぜひ再演をしてほしい舞台である。
蝶のやうな私の郷愁
ひなた旅行舎
こまばアゴラ劇場(東京都)
2021/05/26 (水) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/05/28 (金) 19:30
本ユニットの東京初登場。面白かった。
抽象性と具体性のバランスの取り方が巧い。松田正隆89年の作品(99年に改編?)で、いろいろな所で上演されている作品だが、私は初見。KAKUTAの多田香織とFUKAIPRODUCE羽衣の日高啓介が演出の劇団こふく劇場の永山則夫と作るユニットが、昨年の4月に宮崎で上演した後、コロナ禍で流れた東京と三重での上演をするという1年がかりでの作品だが、その分しっかりと熟成されていたように思う。台風の中、アパートに帰宅した夫と妻のとりとめもない会話の中に、時折紛れ込む思い出の部分、という作りと言えようか。思い出の部分には抽象性があり、具体的な夫婦の会話の部分との落差を、発話でしっかり切り分ける、役者2人の力量が光った。
冒頭、夫が妻を背負って、一方が「Yesterday Once More」を歌いながら他方が抽象的な言葉を投げるシーンで「タンスが2点」という表現を聞き、言葉の選択がテイストに合わず(「2棹」だろう)興覚めしてしまい…。
蝶のやうな私の郷愁
ひなた旅行舎
こまばアゴラ劇場(東京都)
2021/05/26 (水) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
■70分強■
ワケあり男女の愉快な会話と、その奥に垣間見えてくる闇…。木を基調としたぬくもりのある舞台美術も相俟って、なんとも味わい深かった。
サマー
玉田企画
小劇場B1(東京都)
2021/05/20 (木) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
『GK最強リーグ戦2021』
演劇制作体V-NET
TACCS1179(東京都)
2021/05/26 (水) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ガチバトル。15分の換気休憩を挟んで一挙に2作を上演し観客の投票によって雌雄を決す方式で統計的に後発が優位というデータがあるとのことでじゃんけんによって先行・後行の決定権を得る。今回はじゃんけん勝者である猿組が先行を選んだ。
Nouveau Départ(ヌーヴォデパール)
Y’s ExP.
上野ストアハウス(東京都)
2021/05/28 (金) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
とっても素敵な舞台でした!
期待通りの丁寧なお芝居、ドキドキしながら笑って泣いて……そう、これなんだ!
これがこのY's Expさんの唯一無二の持ち味なんだ🎶
皆さん記憶に残るキャラクターですね!過去作をちゃんと観ていたので走馬灯の様に色々なシーンが浮かんできて、とっても楽しめました。
最終公演とは信じられない
是非その目に焼き付けに行ってください!
いつかまた会えるといいな〜🎶彼らに😉
NEW MUSICAL「プロローグ」
劇団BraveHearts
中目黒キンケロ・シアター(東京都)
2021/05/27 (木) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
とても素晴らしいミュージカルでした。お笑い芸人役の女性が、陽気で笑いが満載で楽しい。
(ショウ)と呼ばれていた男性の役者さんが超イケメンで、カッコいいー!!!
生のピアノ、たくさんの素敵な歌声...
満足、満足です。
たっぷり140分。最後にだれとだれがカップルになるとか、予想しながら観たら、さらにおもしろかった。
『GK最強リーグ戦2021』
演劇制作体V-NET
TACCS1179(東京都)
2021/05/26 (水) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
二本観れて嬉しかった。これは、ゼーッたい残りの一本も観たくなる。
毎回このリーグ戦を楽しみにしているファンが、開場前から並んでいて満席。
ふたつとも、それぞれいい味を出していて、とても楽しめた。二本立てって、贅沢ですね。
個人的には、猿組の西遊記が最高に自分好みで、ワーッいい!!!と心の中で叫びながら観ていた。戦っているシーンは、もう迫力満点で、スゴい、スゴいの一言につきる。
孫悟空役の役者さん、愛嬌があって大好きです。本当に猿っぽい。
ストーリーもいい。照明も綺麗。
もちろん、もうひとつの(胸に月を抱いて)も素晴らしかった。
先生と慕われていた役者さん、カッコよかった。
ミステリアスだし、笑えるところもある。
来年も是非やって下さい。
まだ、これで終わらないのがいいですね。
投票して、結果を見てと。楽しみが続くのは嬉しい!!!
アカシアの雨が降る時
六本木トリコロールシアター/サードステージ
六本木トリコロールシアター(東京都)
2021/05/15 (土) ~ 2021/06/13 (日)公演終了
てげ最悪な男へ
小松台東
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2021/05/21 (金) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
『GK最強リーグ戦2021』
演劇制作体V-NET
TACCS1179(東京都)
2021/05/26 (水) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
大和企画「胸に月を抱いて」、猿組「猿組式 西遊記~火焰山の辺りの話~」の2作品を観劇。
今回のテーマは「旅」。
さて、両作品とも手堅くまとめており楽しめた。しかし、何となく既知感がありガチンコ演劇バトルとしては、正直インパクトが弱い。「観客の投票によりどちらが面白かったか勝敗を決める」という謳い文句からすれば、もっと未知の広がりがありアッと驚く芝居のほうが…。それだけ質の高みを望んでしまう、「観客参加型の演劇イベント『GK最強リーグ戦』」なのだ。
(上演時間2時間:各45分+途中休憩兼換気)
父と暮せば
こまつ座
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2021/05/21 (金) ~ 2021/05/30 (日)公演終了
JACROW#30『鋼の糸』
JACROW
駅前劇場(東京都)
2021/05/26 (水) ~ 2021/06/01 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/05/27 (木) 19:00
企業を舞台とした劇作に味を出すJACROWの新作。シンプルに面白かった。
2つの鉄鋼会社が合併して一つになるという物語を、30年に渡って描く。その中で、両社の社員たちを取り巻くさまざまなエピソードで展開される群像劇で、企業勤めをしたことがない私でも、こういうことってあるんだろうな、と思わせるストーリーが面白い。役者陣もJACROW劇団員と慣れた客演陣でしっかり演じ、安定の味。終盤の展開、特にエンディングが味わい深い。