満足度★★★
悪意溢れる演出
近未来の東京で行われるパラリンピックに対して都知事や障害者の思惑が絡み合う様を描き、障害者や性的異常者を通して正常と異常の境目や差別についての意識を問うブラックな内容の作品でした。演出次第ではもっとシリアスなテイストにして考えさせらる作品にも出来そうですが、中屋敷さんは徹底して悪ふざけのような表現で押し通し、独特の世界観を作り出していました。
アニメのような濃いキャラクターばかりが登場し、賑やかな雰囲気でした。個性的な台詞まわしや身体表現を要求する演出は、普段そういう芝居をしていない役者たちにとってはやはり難しいようで、こなしきれていない感じの役者もいて、テンションがなかなか高まらない印象でした。
ちょっと前に流行ったギャグや、同じネタの執拗な繰り返しなど、滑るのを分かっていてやっているネタが多くあり、素直に笑わせない挑戦的な演出が面白かったです。オリンピックカラーの5色の壁が立っているだけのシンプルな空間で、役者たちの演技だけで集中力を途切れさせないのは流石だと思いました。
あまりにも中屋敷さんの色が強すぎたので、もう少しテーマがはっきりと浮き出てくるような異なる演出版も観てみたく思いました。