パラリンピックレコード 公演情報 北京蝶々「パラリンピックレコード」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    個々のシーンがくっきり見えて・・・
    作・演出の組み合わせから
    どのようなものが作られるのか、
    わくわくしながら劇場に向かったのですが
    期待をさらに上回る舞台でありました。

    役者がそれぞれに映える舞台でもありました。

    ネタバレBOX

    場内に入ると鮮やかな色が引かれたスタイリッシュな
    舞台が目に飛び込んでくる。

    さらに開演し、舞台に光が満ちると
    最初の場面から
    ぞくっとくるような高揚感に惹きつけられていきます。
    シーンがくっきりと綺麗。
    役者のしなやかな動きに
    すいっと取り込まれぐいぐいと舞台に引き寄せられる。

    キャラクターが30を超える舞台、
    当日パンフレットを見たときにはどうなるかと思ったのですが、
    キャラクターがしっかりと設定されていて
    観る側に物語を追うとまどいがない。
    しなやかに物語が観る側に流れ込んできます。

    決してシンプルでも薄っぺらい物語でもないのです。
    人が普遍的に持つ優劣の感覚、
    異なるものを排斥する思い、
    或いは異なることから広がる
    ゆがみのようなもの・・・。
    ずるさ、争う気持ち、
    愛する想い・・・。
    それらを操ろうとする仕組みたち。
    物語はいくつもの表裏を抱きながら
    組みあがっていく。

    でも、個々のシーンが
    クリアに作りこまれているから、
    物語の骨格が揺らいだり
    流れがからまったりしない。
    なにより個々のシーンに小難しさがなく、
    洗練に加えて
    豊かなエンターティメント性までもが織り込まれていて。
    観る側が飽くことなく、
    物語を取り込んでいける。

    役者達も、自らのロールに与えられた武器を巧みに使いこなし
    舞台上の感覚を織り上げていく。
    たとえば、自転車のハンドルひとつで
    キャラクターの生活感を浮かび上がらせたり、
    誇張された胸でキャラクターの存在感を鮮やかに醸し出したり、
    バナナ一本で狂気を顕したり、
    古いギャグを連ねて個性を照らし出したり・・・。
    新型義足での走りっぷりにしても
    都知事の風貌にしても・・・。
    30を超える役柄それぞれに
    創意を込めて与えられた個性を
    霧散するような刹那の印象ではなく
    物語のベースにまで広げていく力が
    役者たちにはあって。

    北京蝶々の個性が塗り替えられることなく
    その力に新しい光が与えられた感じ。
    大塩作劇と中屋敷演出の相性がこんなに良いとは・・・。

    拝見したのは初日ですが、
    客演している「柿喰う客」の役者さんの演技などを観ていると
    上演を重ねるに従って
    舞台上に更なる洗練が降りてくる
    予感もあって。

    劇団として新しい扉を開くような
    グルーブ感とボディをしなやかに持ち合わせた
    舞台でありました

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    2011/04/09 07:00

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