東京の空に 公演情報 オーストラ・マコンドー「東京の空に」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    陰と陽のしなやかなバランス
    東京に暮らすことの断片が、いくつものの影と日向をを創り出していきます。

    戯画化されているような部分と繊細に表現されるものが織り合わされて、
    東京に生きることの質感につながっていく。

    終盤の空気感に包まれるようなリアリティを感じることができました。

    ネタバレBOX

    八百屋舞台に線で区切られた3つの部屋、
    その中に置かれた3人の女性たちの生きる姿や心情が
    物語の枠の中にはめ込まれていきます。

    狂言回しのピザ屋さんが
    物語を導き、
    そこからひとりずつ女性たちの心情が現わされていく。
    どこかコミカルでラフな部分と
    ビビットで繊細な内心の表現が
    絶妙なバランスで舞台に広がっていく。

    個々の想いの現れ方が、それぞれに異なっていて、
    それ故に3つの部屋が並ぶマンション(?)に
    不思議な実存感が生まれる。
    男女の距離感やつながりも、
    東京の日々の個々の事情の範疇として
    繊細に切り取られて、
    それらがとてもゆるくつながって行きます。

    かなり大胆にデフォルメされている部分があったり
    刹那の感情を鮮やかに浮かび上がらせたり、
    都会に暮らすことの陽の部分と影の部分が
    上手く言えないのですが、
    縛られることなく描かれていく感じ。
    それらが重なりあって、
    個々のエピソードが同じ東京の空の色に染められて。
    やがて東京に暮らし続ける感覚へと醸成され
    ひとつの感慨となって観る側を染めていくのです。

    役者たちも様々なロールの色を
    しっかりと踏み込んだお芝居で作り上げていて、
    あわせる感じではなく、膨らませる力でのお芝居が
    しっかりと功を奏していて。

    居酒屋さんや先輩のカップル、
    刑事さんも含めたそれぞれの生活や物語が
    まるで街の細胞のようにひとつの世界に取り込まれて。

    終盤に3人の住人たちが
    互いに「はじめまして」と挨拶するシーンが
    なんかとても良い。
    そこには都会で暮らす距離感のリアリティと
    居心地やぬくもりがしなやかに現わされていて。

    終わってみれば、
    一つずつのシーンとはまた別の
    作品としての質感にも染められていて。

    初日で多少の硬さを感じる部分があったとはいえ
    時間を感じることなく
    舞台上の街に訪れた
    季節の感触に浸ることができました。

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    2011/04/03 10:24

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