満足度★★★★
次はどこを目指すのか楽しみ
登場人物は5人。
物語には1つのカップルが登場するが、誰が「彼」で「彼女」かは特定されず流動的だ。
話も特にあるわけではなく、何も起こらないと言っていい。
初めてチェルフィッチュを観たときのような衝撃はなかったが、十分に楽しめた。
それは幸運にも前週に行われたワークショップに参加できたせいもある。
岡田氏は、作品の完成形は舞台の上ではなく、観客の脳内でつくられるべきもの、と語っていた。
そして、それは実際の舞台を観ることで実感できた。
パンフレットで「レイヤー」というキーワードを使われていたが、役者たちは、言語・仕草・心・無意識・(または無関係)などをそれぞれ担当、表現し、それがレイヤーとなり、観客席に一つの完成した画像を(それも観客一人一人に違った画像を)結ばせたのではないかと感じた。
ただし、「素晴らしい」と感じたパフォーマンスと、「いま一つイメージが伝わってこない」と感じたパフォーマンスがあったことは残念。
それから、直接観客に対するアプローチには賛否あるようで、本来は私も好きではないけれど、今回は、観客へイメージを送るための刺激になっていたように思うので「アリ」だと思う。