ホテルロンドン 公演情報 国分寺大人倶楽部「ホテルロンドン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    愛情の匂い
    客観的に見れば、
    決して幸せになれそうもない男女なのですが、
    そこには、愛情の陰陽が発する香りが
    甘いとか苦いとかではない
    もっとリアルなフレーバーでえがかれていて。

    じっくりとその雰囲氣にひたってしまいました。

    ネタバレBOX

    劇場にはいると、そこには互い違いに3つの空間が並べられていて、
    その間に客席がおかれている。
    正直居座る場所にはかなり迷いました。

    でも、舞台が始まって観ると、
    会場にはある種の空気が満ちて行きます。
    何だろ、すれ違った想いが
    同衾している時の
    男女の求める気持ちと、
    すれ違う感覚が
    醸し出す肌触りがそこにはあって。

    物語が流れていく中で、
    男女のチグハグさに惹かれて
    やがて、それぞれの空間での顛末に
    観る側が釘付けになっていくのです。

    それぞれのエピソードを
    緩やかに束ねていく
    一人の男の存在なども
    部屋の内側の二人だけの世界を
    劇場全体の空気にしなやかに織り込んで
    したたかだなと思う

    ホテルの物語ですから、
    艶かしい声色も、
    露出度高めの部分も必然的にあるのですが、
    観る側の視線を肌にとどめない力が
    舞台の流れにはあって・・・。

    そこには、危うい事情や
    刹那の感情だけでは説明できない
    男女のもう一歩踏み込んだ想いをえがこうとする
    作り手の視点の確かさがある。
    よしんば、それが男女のフィジカルな関係の描写になっても、
    そこには細微な心情が満たされているから
    シーンが浮かないのです。

    ホテルを舞台に
    男女のつながりの脆さにとどまらず
    強さや断ち切りえないものこそが
    しなやかに描かれて・・・。

    鮮やかな終幕に息を呑む中、
    作り手が見据える愛情の質感が
    深く伝わってきたことでした。

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    2011/03/01 07:07

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