エモーショナルレイバー【ご来場ありがとうございました!】 公演情報 ミナモザ「エモーショナルレイバー【ご来場ありがとうございました!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    退化する都市部の人類に捧ぐ歌

    2011年の東京で暮らしていると、
    なんかもう誰にとっての幸せが何かとか
    一人一人あまりにも違いすぎて、
    難しい世の中に感じる。

    10年前ならそういうのは
    「価値観の多様化」と言ったんだろう。
    もう多様化じゃなくて崩壊だ。

    昔は仏教説話とかが機能していたし、
    権力者の支配力も強かった。
    オルタナティブなものを作るときは
    それに対して唾を吐けばよかった。

    もう江戸幕府はないし、
    石原裕次郎や美空ひばりや黒澤明はいない。
    じゃあ何になりたいか?
    何をしていたいか?
    誰に反抗すんの?

    この作品は、そういった「迷いの空気」が
    立ちこめる中で生まれた物語だと感じた。



    今は戦後ではなく戦前だとよく言われるが
    それどころではなく戦国時代、
    いや縄文弥生の頃にまで戻っているように思う。

    身体を動かすと気持ちいい。
    家族といると暖かい。
    火を通した食べ物は元気がでる。
    身内を殺されたら悲しい。

    そういう段階からもう一度感じ直す流れが
    きているように思う。
    スマートフォンがいくら便利でも、
    テレビが地デジ対応でも、
    Wi-Fiが張り巡らされていても
    都市部の人類は退化している。



    この作品はフィクションだが
    そんな東京がそのままパッケージされているから
    善悪もなければヒーローもいない。
    みんな自分の事情でしか生きていないから
    誰かを思いやる一言や行動が
    恐ろしく鮮やかに目立った。
    美しかった。

    ちょっと前に夜の海で見た
    豆粒くらい小さな
    遠くの打ち上げ花火のような、
    奥ゆかしい美があった。

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    2011/02/25 02:15

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