満足度★★
Gackt様オンステージ
分かりやすい物語と演出の時代劇ですが、演劇作品としてはいまいちな出来でした。省略や見立てといった観客に想像を喚起させる演劇ならではの「余白」的要素がなく、映像で何でもかんでも説明していて、「舞台を観た」という満足感があまり得られませんでした。
Gacktさんのファンの人以外にはチケット代(1~3万円)の分の価値は感じられないのではと思いました。
回想シーンや背景、効果などで映像を多用して時間や空間の広がりを演出していたものの、舞台上の役者、大道具とチグハグな感じを受けました。
殺陣のシーンでは役者の動きに同期して格闘ゲームみたいな刀の軌跡や火花が背後に写し出されるという、派手な演出が施されていましたが、その大袈裟さが逆に安っぽく感じました。役者の後ろで映像がキラキラしているのが妙な感じなので、スモークか紗幕を使って役者より手前に映像効果が来るようにした方が良いと思いました。
3Dモデリングで作られた背景映像は質感がいかにもCGといったギラギラした感じで、実在する大道具に対して浮いていました。
寡黙な眠狂四郎を演じたGacktさんは流石に格好良かったです。殺陣も決まっていました。しかし、「…ふっ…」と「…はぁ…(溜め息)」という台詞が多く、しつこさを感じました。モノローグのシーンではライブカメラで顔のアップが映されるためか、生台詞でなく録音だったのが残念でした。
眠狂四郎のライバル三雲を演じた嶋田久作さんの低い声と存在感のある佇まいが素敵でした。
カーテンコールも芝居仕立てで世界観を壊していないのは良かったのですが、ちょっと時間をかけ過ぎのように感じました。全体としても休憩込みで3時間半弱は長く、刈り込んでスピード感を持たせた方が良いと思いました。