街などない 公演情報 岡崎藝術座「街などない」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    刹那をくっきりとあからさまに
    比較的シンプルな舞台装置の中
    とてもオープンに役者たちの描く世界に導かれて。、

    そのコンテンツには意外なふくらみがありました

    ネタバレBOX

    日本語字幕の回だったので、
    アドリブなどまったくなく
    台詞はすべて台本の通りだったことがわかりつつ、
    とても自然体に感じられる空間の
    その広がりが醸し出す、
    即興のような肌触りがとても好印象。

    実はとてもしたたかな台本で、
    幾重にも感性のベクトルが重なった作品。
    それを4人の女優たちが
    どこかPOPに、観る側に負担をかけず、
    リラックスした感じで
    舞台に広げていきます

    冒頭の読書から広がっていく世界。

    まあ、ところによって
    いろいろと下世話な内容だし、
    それがあっけんからんと語られることが
    けっこう印象に残ったりもするのですが、
    でも、思い返すと、横浜と川崎の話や
    さらにはちょっと不可思議ないろんな場所の位置や
    いろんな知識や揶揄や
    生理的にやってくるものまで
    さまざまに浮かび上がるものが
    ルーズにつながって流れていく感じに
    そのまま引き入れられてしまう。

    ふっと浮かんだようなのりや
    戯曲の一部分や
    いろんな概念や知識、
    ジャブのようだったりちょっと毒のある悪口、
    歌のワンフレーズ、
    そのたもろもろ。
    読書をしていた時間が解けて
    そこから解きほどかれたものたちが
    心を占めていくような感触がしなやかに伝わってくるのです。

    間の使い方がとても効果的・・・。
    話題がすっと塗り替わる感じにも
    心の移ろいと同質の滑らかさがあって。

    想像でしかありませんが
    ガールズトークののりって
    女性たちの想った事がそのまま供されて
    連鎖していく感覚なのかとか
    妙に納得したり。
    椅子の位置で
    読書をはなれて思うことのふくらみが
    次第に広がっていくような
    感じもやってきて。

    で、満ちたなかで
    四人の女性たちがさらに解けて
    素に戻っていくその醒め方にも瞠目。
    コーヒーを飲んで読書をしている
    ひとりの女性に収束していくラストにも
    それまでの広がりを受け取るだけの
    クールな切れがあって鮮やか。

    終幕して拍手をするなかで
    目の前に広がっていたものの向こうにある
    女性のありふれた瑞々しさにとりこまれていることに気づく。

    なんだろ、まさにファミレスの隣の席で
    読書をする女性の心の内を垣間見たような・・・。
    そのビビッドさに
    作品の秀逸さを強く感じる。

    まあ、舞台のクオリティを支えているに足りる
    役者たちの表現の確かさがあるから
    成り立った世界だと思うのです。
    でも、それと同じくらいに
    作り手の描く切り口と
    観る側の視点がさだまった瞬間に
    違和感が消えてしまうようなその語り口のしたたかさにも
    舌を巻いたことでした。




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    2011/02/22 06:03

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