クラウド9 公演情報 劇団青年座「クラウド9」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    青年座が、一皮も二皮も剥けた感あり
    いやあ、正直、度肝を抜かれました。
    性描写が赤裸々で、ほんとに、これ青年座の芝居??と驚愕でした。

    でも、これ、観て良かった!!

    すごく面白いし、感銘受けるし、何より、養成所時代から存知上げている、宇宙さんと安藤さんが、役者として、飛躍的進化を遂げていることを、見せ付けられた、心から、喜びを覚えましたから。

    青年座の役者さんが、こういう戯曲を、ご自分の体に落として、表現できるようになったことが、嬉しくてなりませんでした。

    欲を言えば、自劇団のみの配役で観たかったと思います。
    クライブ役、山路さんで観てみたかったですね。

    伊藤大さんの演出は、この作品の本質をよく捉え、迷いのないジャッジが行き届いたようで、成功だと思いますが、惜しむらくは、セットが、やや薄っぺらな感じがしたことです。もっと、抽象的なセットの方がむしろ良かったように思いました。

    ネタバレBOX

    かつて、自転車キンクリートの「OUT]を観た時や、「カラーパープル」を読んだ時の衝撃が蘇りました。

    人種差別、男女差別、人間の性欲、自分という存在の確立までの不安と戸惑い、…、本当に、たくさんのテーマが内在する、濃密な戯曲でした。

    休憩挟んで、3時間近くある舞台でしたが、全然長さは苦になりませんでした。

    1幕、2幕で、役が入れ替わったり、男女が逆の役を演じたりが、実に効果的な演劇空間を作り上げていました。

    1幕の宇宙さんは、スタジオライフの役者さんを彷彿させる、見事な女装演技。2幕では、ゲイの青年役ですが、全くの女性と、ゲイで女性っぽい人物の微妙な演じ分けがお見事でした。

    安藤さんは、1幕のおばあちゃんが最高!歌う子守唄もどこか不気味で、ぞっとするような、長い人間生活の根を見せる演技に魅了されました。

    少年期に、父の友人に、幼児性愛の対象にされ、それに、好奇心を持って、彼を慕ってしまうエドワードを演じた小暮さんは、独白場面の台詞と歌に説得力があり、思わず、こちらも涙腺が緩むことに…。彼女は、2幕の母親役も、高齢期の女性の悟りを、うまく表現されていました。

    いつもお上手な山賀さんの名演は言うまでもなく、美人の勝島さんは、最後まで、1幕は2役演じていると気付かず、それだけ、演じ分けがしっかりされていたのだと思います。でも、彼女は、2幕のレズの女性役が、好きになってしまいそうになるくらい、魅力的でした。

    一番、凄かったのが、南谷さん。この方は、1幕では、黒人の使用人、2幕では、ゲイの男役でしたが、それはそれは、刺激的、かつ魅力的な演技で、すっかり、心が鷲づかみされてしまいました。

    皆さん、歌もお上手だったし、歴史ある新劇の劇団が、歴史にアグラをかくことなく、こうして、常に、新しく伸びようとされている、劇団全体の姿勢に大変好感を持ちました。

    何しろ、演じていて絶対恥ずかしくなるだろう、性行為や、自慰行為を、潔く演じきった、青年座の皆さんの勇気と、役者魂に、敬意を表します。

    他の新劇劇団ではこうは行かないでしょう。まさにブラボー!!

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    2011/01/30 20:11

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