満足度★★★
演出不足がもったいない
毎週日曜日だけ練習しているアマチュア団体とのことですが、期待以上にハイレベルな公演で、3時間があっという間でした。モーツァルトの華麗な旋律を存分に楽しめました。
男性ソリスト陣は時折惜しい箇所が見られましたが、女性ソリスト陣はどのアリアも見事でした。
演出的には初めて観た人でも分かり易いオーソドックスなもので、字幕もあったので、あらすじを予習しなくても大丈夫なのは親切でありがたいです。
ドン・ジョバンニの女性遍歴を記したカタログがiPhoneだったり、パーティーで付ける仮面をサングラスに置き換えていたり、ちょこっと現代的要素を入れているのが面白かったです。
衣装は現代的な普通の格好で、舞台セットも後ろに白い箱を積み重ねただけのシンプルなもので、「オペラ」という仰々しさを感じさせなくて良かったと思います。
セットは人が持ち運べるサイズで出来ているので、騎士長の石像の登場シーンやドン・ジョバンニの地獄落ちのシーンで崩壊させたりするかと期待していたのですが、何も起こらずちょっと残念でした。
コーラスの人たちはあまり出番がないので、場毎に箱の配置を変えたりすれば空間に変化が出せると思います。
また照明もメリハリがなく、のっぺりとした感じになっていました。
スタッフクレジットに演出家の名前がなかったのですが、ちゃんと演出家をつけて音楽作品ではなく舞台作品として仕上げると、もっと良くなると思いました。
せっかく演奏は良かったのに、会場が多目的用の大部屋で残響がなく、客席とオケピットが同じフラットな床上にあってステージが見え難くなっているのがもったいなく思いました。
さらに欲を言うと、レチタティーヴォはピアノでなくチェンバロの伴奏で聴きたかったです。