満足度★★
丁寧な作品
田舎の小さな本屋の店長とその兄、妹の3人を中心として丁寧に紡がれた、ちょこっとファンタジックな要素もある柔らかな雰囲気の作品でした。
舞台である本屋に似つかわしく、感情を爆発させるようなシーンはあまりなくて淡々とした展開ですが、兄妹間の微妙な距離感が上手く表されていて、退屈させられることもありませんでした。
万人向けな分かりやすい脚本・演出で、無理矢理笑わせたり泣かせたりしようとしていないのは好印象でしたが、演劇作品としてこの内容を上演する必然性があまり感じられないのが残念でした。
せっかく生の時間と空間を使って物語を描いているからには、小説や映画では表せない舞台ならではの質感を感じさせて欲しかったです。
役者の演技はあざとさを感じさせない自然な雰囲気で、すんなりと物語の世界に引き込まれました。松本大輔さんの、ちょっと変わった人の役をリアリティを失わない程度にデフォルメしているバランスが絶妙で、良いアクセントになっていたと思います。