終わりなき将来を思い、18歳の剛は空に向かってむせび泣いた。オンオンと。 公演情報 青年団若手自主企画 だて企画(限定30席!)「終わりなき将来を思い、18歳の剛は空に向かってむせび泣いた。オンオンと。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    あの「場所」を去りがたい気持ちが強く残った
    観客参加型ということで、やはりドキドキしていた。
    春風舎の入口から学生服の案内係の人が立っていて「おはよう」と声を掛けてくる。受付でも、まるで同級生のような口調で「おはよう」と。
    なんとなく、「いらっしゃいませ、ご主人様」的なお出迎えのような印象を持ってしまった。いや、まあ、実年齢と制服の微妙な調和が(笑)。

    極々個人的なことながら、いつもより、ちょっと後を引く観劇後。

    ネタバレBOX

    客席に入るとそこは見事に教室であった。
    なるほど、サイズ的にも教室なのだ。

    そして、クラスメイトらしき人々が、やはり気軽に「おはよう」と声を掛けてくれる。

    そこで、はたと困った。つまり、この「芝居」にどこまで乗っていくべきなのだろうか、ということだ。
    「観劇をしに来た」のだから。もちろん観客参加型なのだから、「観劇を体験しに来た」ということなのだが、「芝居をしに来た」わけではないのだ。「学生を演じている役者さん」たちのことは、「学生である」と認識することはたやすいのだが、自分は学生にはなれない。演じなければなれないからだ。

    「演じる」ということは、「観る人」を意識しなくてはいけないということで、それは「他の観客」と「役者」と「自分」になってしまうのだ。

    そのあたりのジレンマが、最後まで解消されずに、もぞもぞしてしまった。

    さて、ストーリーは、いろんな出来事が起こるある日の1時限目。そこで高校生たちがわさわさするというものだ。
    そのわさわさに自分も入っている。

    質問を振られたり、巧みに台詞を言わされたりするのだが、それはやはり緊張感がある。でも、楽しい。実際に振られて発言したり、台詞を言う機会もあった。ウケを狙いすぎて(と言うより、もう振られないだろうとタカをくくっていたら、不意に振られて、あらぬことを口走ってしまった)、先生役の方を少し固まらせてしまったりした。冷や汗だった。

    とにかく、とても楽しい時間だったのだ。

    で、実は観劇の間の楽しさはもちろんあるのだが、その後、春風舎を出てからの、無言で帰る道筋がまさに「家に帰るまでが学校」だったわけなのだ。
    まずは、その場を去りがたい気持ちが強く、後ろ髪を引かれる思いで、会場を後にしたのだ。

    (ここからは、さらに個人的すぎる感想)
    そして、自分の高校生活を思い出すのだ。
    充実していたと感じていた高校生活は、実は楽しくなかったのではないか、と年を経るごとに気がついている自分がそこにいる。
    今、舞台で観た、定番のようなアノ感じ。こんな役割の生徒がいて、こんな役割の生徒もいる、というような雰囲気。そういう定番も悪くないなと思ってくるのだ。
    当時は、すべてにしらけていた。熱さはカッコ悪さだった。
    そう思うと、実は何も楽しんでいなかったのではないか、と思ってしまうわけだ。

    考えてみると公演なのだから、もう一度体験することは可能である。そうすればもっと本気に芝居に入り、もっと面白いことを言ったり、もっといいタイミングと口調で台詞を言えたりする可能性が高まる。
    これって、人生をもう一度やれることなんじゃないかと思ったりする。どう話が進むか知っているところにもう一度入って、あのときできなかったことをうまく立ち回るということができるということ。

    禁断のリピート(笑)。眠れない夜に布団の中でうじうじ考えていたような、「あのときこうしていれば」が解消されるように、人生がもう一度体験できるじゃないか(笑)。

    エンディングのタイトルロールのアイデアはグッド!

    0

    2011/01/18 03:05

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大