15 Minutes Made Volume10 公演情報 Mrs.fictions「15 Minutes Made Volume10」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    単なるショーケースではなく
    個々の作品がたっぷりと面白くて。
    劇団のショーケース的な部分も
    失われているわけではないのですが
    それよりも、6つのテイストをもった
    15分の世界自体が本当に魅力的。
    エンタティメントとしても
    一つのメソッドが確立した感があって・・・。

    観ていて、時間があっという間でした。

    ネタバレBOX

    各劇団とも15分の表現にとまどいがなく、むしろ短篇の利点を生かした作品が次々にやってくる感じ。

    ・少年社中

    キャラクターの設定などや時間設定など、どこか薄っぺらくあざとい感じもするのですが、それを引っ張りきってしまう底力がありました。

    濃い感じはしないのですが強い。

    物語としての筋の通し方にも手練を感じて
    15分とは思えないボリューム感がありました。

    ・ぬいぐるみハンター

    前回の本公演を観たときにも圧倒的だったのですが、
    そのエキスがこの掌編にも
    たっぷりと盛り込まれておりました。

    枠の外し方という別のベクトルの差し込み方に
    観る側の想像を乗り越えたり塗り重ねていくような
    面白さがあって。
    しかもそれが
    霧散しないで蓄積されていく感じに
    あれよあれよと引き込まれていく。

    細かい仕込みがてんこ盛り。
    その繰り出し方もしたたかで
    なおかつ緩急自在。
    突っ張る部分と外す部分のバランスが抜群によい。

    これはもう
    次回の本公演が楽しみになりました。

    ・トリコ劇場

    冒頭の雰囲気はちょっと色の濃い家庭内愛憎劇なのですが、
    そこから意外な感覚が生み出されていきます。

    戯曲のしたたかさが、きちんと観る側の視点をコントロールしていく。
    男や3人の姉妹に視線を惹きつけておいて
    その先をさらっと現出させる・・・。

    3人の女性たちそれぞれが
    すっと母親の一部に集約されていく態には
    ぞくっときました

    その夫婦間の愛情の浮かび方も本当に秀逸。
    ラストシーンが持つ
    深さや厚み、
    そのふくよかさに作り手の力量を感じました。

    ===intermission===

    ・世田谷シルク

    一つずつのシーンが丁寧に作られ、
    しかもビビットで創意にあふれていました。

    表現のひとつずつに目を引くような力があり
    それらがなによりもわくわくするほどに楽しい。
    刹那ごとに惹かれるのは
    役者たちの演技がもつ切れであったり
    一歩観る側を凌駕したような
    舞台上の空気やセンスであったりもするのですが、
    夢と現の端境の作り方や
    女子学生のヌードのスケッチというベースが
    場ごとのしなやかな枠となって
    その楽しさが拡散せず、
    舞台上でさらに醸成されていく。

    この質感だいすきです。
    よしんば短編であっても、
    むしろ短編であるからこその
    ぞくっとくるような魅力にしっかりと浸されて。

    ほんと、いろんな意味で楽しかったです。

    ・田上パル

    ある意味ワンアイデアなのですが、
    貫き通す力にしっかりと裏打ちされていて
    観る方が飽きずにもっていかれました。

    なんというか
    舞台上に迷いがないのがよい。
    多少ラフな部分を感じないわけでもないのですが、
    舞台上のコアにある掟がしっかりしているから
    観る側がとまどわないし迷わない。
    むしろ、そのラフさが
    舞台上の嘘に観る側を導く味のようなものになっていて。

    この作品、45分バージョンで演じられるということですが
    どんな展開になるのか・・、
    実際に伺うかどうかは別としても
    ちょっと心惹かれてしまいました。

    ・Mrs.fictions

    キャラクターたちに厚みがあるとか深さがあるとか
    そういう印象があまりないのに
    なにか観ていくうちに
    それぞれの味わいのようなものが
    じわっとやってきます。

    どこかデフォルメされた
    コミカルでうすっぺらい会話から
    それぞれの時間、そして二人の時間の重なりが
    ホログラムのように浮かんでくる。
    深く浸潤されるというわけでもないのですが、
    気がつけばどこかがほかっと暖かくなるような
    感覚が生まれていて。

    そういう染められ方をしているから
    最後のワンシーンが・・・沁みる。
    彼らの人生の刹那を垣間見て
    ふっとその後ろ姿に目がいくような感じ。
    どこかシニカルでさらっとした洗練があって、
    心に残りました。

    *** *** ***

    観終わって結構な充実感・・・。
    エレベータを待つ間には
    また来たいとの声も漏れ聞こえてきて・・
    この企画、本当に良い形で定着したなと思います。

    ほんと、来年の展開への期待が膨らんだことでした。




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    2010/12/19 10:00

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