満足度★★★
真面目なアングラ
代名詞ではない「自分」とは何か、というアイデンティティを巡る話が、奥行きに対して異様に広い間口のステージ上で狂気的な独特の世界観を通じて表現されていて、迫力のある舞台でした。140分程度の上演時間がそれほど長く感じませんでした。
白塗り、車椅子、鎖、柱時計、ピエロ、精神病など、アングラ的要素満載の演出でしたが、エログロ的な表現がないので、案外さっぱりとしたテイストに感じられました。
役者たちの演技は一般的な意味での上手さはあまりなかったのですが、極端にデフォルメされた役作りが作品に適していたと思います。
回想シーンなどの時間軸の扱い方や主人公が掛けるゴーグルが、この舞台の表現の仕方とは全く逆で、静謐な印象のある、クリス・マルケルのSF映画『ラ・ジュテ』を思い起こさせました。
頻繁にある暗転と、大袈裟な映画音楽風のBGMの使用はもう少し控えて欲しかったです。
元キャバレーの怪しげな雰囲気とアングラ的作風が合っていたと思いますが、同じビル内にあるライブハウスからバンドの演奏する音が絶えず漏れ聞こえていて、作品に集中しにくかったのが残念です。
2010/12/21 16:10
舞台『TIC-TAC』御観劇いただきました皆様、コメントいただきました皆様、心より感謝申し上げます。皆様のお声をもとに、改善、更なる向上を目指し日々精進してまいりますので、これからも、よろしくお願いいたします。
ヨリコ ジュン / anarchy film 一同