国道五十八号戦線異状ナシ(再演)/国道五十八号戦線異状アリ(友寄総市浪短編集) 公演情報 国道五十八号戦線「国道五十八号戦線異状ナシ(再演)/国道五十八号戦線異状アリ(友寄総市浪短編集)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    「異常あり」個々の作品にとどまらない・・・
    短編集とのことで、個々の作品の味わいに浸るとともに、
    セットのつながりや作品の並べ方からの
    連作(ではないけれど)的な構成にも
    引き込まれました。

    常ならぬ踏み出しの感覚に浸潤されました。

    ネタバレBOX

    ・「さっき終わったはずの世界」

    この作品は15MINUTES MADEでも見ました。そのときにはもっと行き場のなさやシニカルな感じがあったのですが、今回はメリハリの強いポップなテイストに仕上げられておりました。

    カップルの見事な下世話さと宇宙人自身の内外の落差が相乗効果をもってで物語の輝度を作り上げていく。

    コミカルさが薄っぺらにならず、舞台の枠の中で温度があがっていく感じが見る側をひきつけていきます。

    その勢いが、パンチラインとしての暗転に小気味よい力を与えておりました。

    ・テンパってる奴

    はじめてみるお芝居。物語の仕組みとしてはありがちだけれど、中盤までは視座の作り方もきちんとしていてきちんと見る側を引っ張っていってくれます。でも、そこから演技の崩しみたいなものがちょこちょこ入ってきて、戯曲の構成ではなく、舞台上の危うさのようなものでニュアンスが伝わってきます。

    危うさに前のめりになり、疾走感にぞくぞくする。演じることと演じられることのハザマあたりで舞台が構成されて、その不安定さが舞台の色に不思議なグルーブ感すらかもし出す。

    ちょっと常ならぬ感覚がとても魅力的でした。

    ・三鷹の男

    この作品は別の集団の公演で見たことがあります。そのときには地図が浮かぶような演出でした。

    前の作品から片づけられることなく
    とり散らかった舞台で語られる、男自身のその心情は
    あからさまで、直情的で
    ゆらぎ、どこかあやふやで・・・
    間違いだらけで
    どこかピュア。

    荒廃のにおいと男の存在感に
    さらに散らかされていく舞台。

    目を離すことができませんでした。

    ・三鷹の女

    舞台はもはや劇場の素明かりそのままとなり
    まるで戦いのあとのような景色のなかで
    女性のモノローグが始まります。

    新しい生活に踏み出すことを語る演じ手に
    終焉の色がただよう舞台。

    そこには舞台の体はなく、
    素語りでキャラクターの心情などがつづられていくだけ。
    三方の客席に礼をして去っていくその姿は
    演劇と現実のどちら側に置かれているのか
    もはや区別すらつかず・・・。

    ただその姿を見送ってしまいました。

    ********

    単純に4つの作品が並んでいるというだけではない
    上演時間をとおしての高揚と崩れの流れがとてもしたたか。

    作品たちの外側に
    もうひとつの作品が綴られていくような感触もあって、そのことが
    個々の作品の色をより強調していくようで。
    役者や作家に加えて
    演出家の非凡な力をあらためて感じました









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    2010/12/12 18:06

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