りんごりらっぱんつ 公演情報 劇団競泳水着「りんごりらっぱんつ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    登場人物たちへの優しさが溢れている
    とにかく、台詞が1つひとつとてもいい。それを等身大で役者が丁寧に演じているところに好感が持てるし、引き込まれていくのだ。

    登場人物たちに対するまなざしが優しい。演出も役者も、きちんと手を加えながら、育てていったのだろうと思う。つまり、そこには愛情がこもっている。

    ネタバレBOX

    物語としては、若者たちの群像劇であり、気持ちのいいメッセージが読み取れる。この舞台が好評なのは頷ける。なぜならそのメッセージは優しくも強い力で、今を生きている(特に若者たち)人々の背中を押してくれたり、さすってくれたりしているのだろう。

    登場人物たちの精一杯さが、とてもいいのだ。それは同時に役者たちの精一杯さでもあり、観客のそばにいる、大勢の人たちのことであり、さらに自分のことでもあるのかもしれない。
    観客の多く(若者たち)は、自分の背中を見つつ、観劇していたのではないだろうか。すでに若者ではない観客たちは、そこにかつての自分を見ているのかもしれない。

    「東京に行けば夢がかなう」というテーゼ(というか希望的観測)が根底に見える。それは古くさいし、そんなのは嘘っぱちであると知っていても、そうあってほしいという気持ちが心の中にある(疲れた)人たちが多いのかもしれない。
    (東京に行けなかった姉だけが-直接-夢をかなえることができなかった)
    とは言え、今も昔も何かを求めて上京しているのは同じなので、それへの共感はしやすいのかもしれない。

    続けることが夢をかなえることである、ということが基本ながら、就活していたら、バイト先から正社員の口がかかる、とか、結婚もできる、とか、シェフを続けていれば認められてお店を任せようなんて声も出て、とか、水泳の目標がなくなったのに、すぐに大学に進学できて、さらにあっさり就職もできる、とか、映画を撮れば受賞できる、とか、インディーズのミュージシャンがデビューできて、アルバムも出せ、ヒットましてしまう、とか、さらに、心を休めたいときには、いつでも温かく迎えてくれる故郷がある、とか、そんなハッピー・ストーリーの連続であっても、イヤな感じがしない。

    それはもひとえに、この作品が持つ、「愛情」が、つまり「本気の愛情」が観客の胸に届いているからであろう。
    だから、温かい気持ちのまま、会場を後にすることができるのだ。

    この後、劇団競泳水着は1年以上の充電期間に入るという。たっぷり充電して、競泳水着らしい「愛」を、また見せてほしいと思う。

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    2010/11/24 06:21

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