満足度★★★★★
アガサ・クリスティーの脚本がとにかく面白い!クライマックスで畳み掛けるようなどんでん返しに感服!
推理サスペンス劇の上演は本当に少ないので、
ずいぶん前から本作を楽しみにしていましたが、
『面白かった!』脚本がとにかく面白い!
クライマックスで畳み掛けるようなどんでん返しに感服!
原作短編小説の初出は1925年の雑誌、1933年に書籍刊行、
クリスティ本人による戯曲が1953年初演というもはや古典。
さすがクリスティだけあって、推理劇の面白さだけでなく
女性の心理が事件に巧妙に絡んでいて秀逸。
検察の証人となるドイツ女性だけでなく、中年女性の
使用人の描写もうまい。
クライマックスで情を絡ませながら、観客を少し
泣かせながらどんでん返しさせるとはすごい。
また、『いかにもという配役』もまた楽しい。
浅丘さんはドイツでのステージシーンもまばゆく、
しかし厳格なドイツ女性の演技、そして一転、
深い愛情をあふれさせる変化が見事!
渡辺徹さんは善良で賢明な弁護士を好演。
風間トオルさんの率直な青年像もそうですが、
鶴田忍さんのちょっと弱気な?警部、そして
極め付きは松金よね子さんの中年のメイドという
『いかにもという嬉しい配役』は、観る前から
わくわくしてました。
ふと考えると、外国人を日本人俳優が演じる
ミステリーなんて、当然かもしれませんが「演劇」
「舞台」でしか実現できませんよね。
ドラマか映画にするには日本を舞台にする、
とか翻案するしかない。
そう考えると、「舞台」は本当に面白いものです。
ちなみに、1957年に映画化された「情婦」
(監督ビリー・ワイルダー)では容疑者を
タイロン・パワーが、その妻のドイツ女性を
マレーネ・ディートリッヒが演じてました!