満足度★★
シュルレアリスム?
白の章を鑑賞しました。
『シュルレアリスム宣言』
大人数によるリーディングでゲーム的要素を盛り込んでいましたが、いまいち高揚感に結び付かず、ただ大声になっているだけに感じられ残念でした。
『H+(トランスヒューマニズム)』
画家のエゴン・シーレを実在の人物とは少し異なる人物として描いていました。活人画、赤と黒の美術など耽美的な雰囲気の作品でした。絶えずBGMが流れていて(しかもアディエマス等かなりドラマティックな曲調)、役者の演技を殺してしまっているように感じました。
『ニヒリズムの肖像』
前2作に較べて格段に充実した内容で、とても良かったです。惰性で生活する貴族と正義を貫く平民の対比が鮮やかに描かれていました。前に出るタイプの役者が多い中、ベラ役を演じた伊達由佳里さんが抑えた演技ながら強い存在感を見せ、引き込まれました。
全体を通して観ると、夢や無意識、オートマティスムといったシュルレアリスム的要素が感じられず、寧ろタイトルや台詞に出てくるニヒリズムやヒューマニズム、超人といった言葉に象徴される、ニーチェ的な美学を感じさせる作品でした。
舞台袖から段取りのヒソヒソ声や、小物を動かすノイズが聞こえて来たり、貴族役の人たちの衣装から糸が飛び出ていたりと、細かい部分の詰めが甘く感じました。
黒の章も観に行くつもりなので、白の章との対比や、ロベスピエールとサン・ジュストの現れかたを楽しみにしています。