動かない生き物 公演情報 らくだ工務店「動かない生き物」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    観られて幸せでした
    そうなんです。こういう芝居が観たくて、私はいつも劇場通いをしているんだと、つくづく実感させられる、素敵な作品でした。

    変にストーリーを作りこむことをせず、登場人物全員の佇まいや舞台上での居ずまいが自然で、まるで、日常の一こまを切り取ったスケッチ画のような芝居。
    それでいて、全然厭きることはないのです。

    脚本、演出、キャスト・スタッフの仕事ぶり、全てが、大変好ましく、自分好みのテイストで、久しぶりに、心底、舞台世界で、心地良くひと時を過ごすことができました。

    この機会を与えて下さった間瀬さんに感謝!!

    ネタバレBOX

    冒頭から、あーこの芝居は、私の気持ちを裏切る作品ではないなと直感できました。

    皆さんの会話がとても自然!!
    それだけで、観てて嬉しくなってしまいました。

    皆それぞれが、自分の家庭や日常には何らかの悩みや不安を抱えながら生きているのですが、それを大仰に露呈することなく、皆、職場では、明るく同僚と接しながら、働いています。
    そういう、日常の動物園の情景描写と、心象描写の匙加減が絶妙で、石曾根さんという作、演出家の大ファンになりました。

    キャストも、皆さん、本当に、動物園を職場とする人間の体現がお見事で、ずっとこの職場の方達とお付き合いしていたくなりました。
    こんなに、どれを取っても、及第点の芝居には、実はなかなかお目に掛かれないので、演劇ファンとしては、ビックサプライズのような、らくだ工務店との出会いに、心から感謝しました。

    玉置役の古川さんが、動物の気持ちがわかるかわからないかの話から、自然に、寝たきりで意識のない、妻の話題に移行して行く時の、素晴らしい演技には、まるで、実話を聞いたような気持ちの揺れを、客席でも体感しました。

    引きこもりがちな子供との距離の持ち方に悩む松永。動物と触れ合うことで、自分のスタンスを保つ和田。子供が懐かないことに心を痛める熊野。動物には信頼さえるのに、女性とのコミュニケーションが苦手な小木。夫とうまく行かず、心の支えとして、同僚男性に擦り寄ろうとする山口。明るく皆に愛されるキャラなのに、何故か動物とのコミュニケーションは不得手な前田。もうすぐ子供が生まれることで、有頂天になり、妻の気持ちをやや思いやれない成瀬。夫を愛し、励まし、きっと素敵な母になるのを予感させる、成瀬の賢妻…。

    これだけの、登場人物の一人ひとりにリアルな命を吹き込んだ、作演の石曽根さんと、出演者の皆さんに、心から、感謝とエールを送りたいと思いました。

    我が息子と養成所同期の間瀬さん。入所間もなくの代々木公園での自主練ビデオを拝見した時から、この役者さんはきっと素敵な俳優さんになると確信していましたが、自分の目に狂いがなかったことも実感できて、本当に幸せな観劇タイムでした。

    0

    2010/10/30 13:44

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大