満足度★★★★
丁寧に作られた作品
戦時中に風船爆弾を作っていた女性を通じて、1944年の日本、1945年のアメリカ、2010年の日本でのエピソードが重ね合わされた物語で、戦争の虚しさが描かれていますが、やたらと声高に訴え掛けることもなく、後味の良い作品でした。
7人の役者が場面毎に色々な役を演じ、演技力と演出によって、もっと多くの人が出演しているかのように感じました。特に、枝元萌さんのキャラの変わりっぷりは見事でした。
それぞれの時代で別れる運命になってしまう2人がどの時代でも同じ役者で演じられたり、祖母の若い頃をその孫の役を演じていた役者(男性)が現代の格好のままで演じたりと、配役が物語の構造と上手く結び付いていたと思います。
アメリカの話で幸福な暮らしに不幸が忍び寄るのを予感させるシーンが素晴らしい演出でした。風船爆弾の素材である和紙で統一した美術もシンプルで美しかったです。