坂口安吾 白痴 公演情報 726「坂口安吾 白痴」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    原作の感覚がやってくる不思議
    やや風変りな肌合いの中にこそ
    原作のスピリットが
    しっかりと感じられて。

    どこかソリッドでありながら
    奥行きをもった舞台に
    時間を忘れて見入ってしまいました。

    ネタバレBOX

    上演時間がとても短く感じられました。

    それは、昔々読んだ原作の質感が
    イメージとしてあったからかもしれません。
    でも、それにしても、ずいぶんとイメージが
    小気味よく伝わってくる感じがして。

    上手から下手へ大きく傾斜する舞台。
    たとえば傾いであるく人々。
    あるいは舞台中央の扉から飛び出してきたり。
    動きの外連に加えて
    そのせりふまわしやくっきりとした間のとりかたから
    個々の人物の断片がすっとうかんで・・・・。
    その印象がもたれずに
    主人公からから見た軽さをもって
    でも残像のようにくっきりと残る。

    気違いの兄妹に浮かぶある種の理や
    たばこやの婆の説得力をもったあくの強さ
    大家の人当たりのよさにしても
    その場の空気にあるがごとく馴染みながらも
    一方で空気を研いでいくような力があって。

    その中で伝わってくる主人公の感覚が
    淡々としていながら
    原作独特の読了感と同じ感覚へと
    観る側をしっかり導いてくれる。

    なにかをすっと抜けて、どこか放心しながら
    でも、そこにとどまる感じとは少し違う。
    言葉だけでは掬い取りきることができない
    空気のクオリティがそこにはあって、
    鳥肌がたちました。

    役者たちのラフなようで
    物語に対する深度が絶妙にコントロールされた演技が
    秀逸な戯曲のニュアンスを
    さらに浮かび上がられて・・・。

    初日の観劇でしたが
    きっとさらにエッジがしっかり立っていくような
    予感をさせてくれル感じもあって
    これはこれである意味凄い。

    個性が強くて、
    若干好みは分かれるのかもしれませんが
    私的はとても惹かれるものを持った
    作品でありました。

    ☆☆☆★★★△○○○

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    2010/10/19 01:35

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