満足度★★★★
スローカーブ、直球、チェンジアップで三球三振
とあるバーで常連客とその家族たちが会話の3話オムニバス。
1話目は「いとこ編」で、結婚式帰りの男女3人のいとこたちを描き、その3人とちょうど入れ替わるように入ってきた姉(=田舎から上京してきた)と弟(=東京でマンガ家をして多少売れた)による2話目が「きょうだい編」。
それぞれの会話で血の濃さというか、血縁の距離というか、そういったものがこの2編に如実に顕れているのが巧い。
で、またも入れ替わりか?と思いきや、今回はその2人が出て行ってからしばらく間が空く…んだが、実はいとこ3人組よりも早く待ち合わせだという少女が入店しており(しかも彼女はそれぞれのエピソードに1言2言辛辣な言葉を投げる)、彼女とマスターの会話でつなぐワケで、この構成も見事。
そうして始まる「おやこ編」は、前2編がスローカーブとストレートの速球であるのに対して変化球、的な。
4親等、2親等と来て今度は1親等なので繋がりはより濃いかと思いきや、かつて自分(と母)を捨てた父親と対峙する娘、ということで「近いけれど遠い」感覚。決裂しての別れのように見えるものの実は…な終わり方もイイ感じ。