バニラ 公演情報 643ノゲッツー「バニラ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    配役の妙で両組とも楽しめました
    643ノゲッツーは2度目。初見のとき、あまりなじめない作品て遠ざかっていましたが、今回は横島裕さんのWキャストを目的に赤(4日)・白(5日)両組観劇。
    「世にも奇妙な物語」にコメディータッチとヒューマンテイストを加えた印象で楽しめました。コメディータッチと言ってもわざとらしい笑いではなく、人間らしさからくるものなので好感が持てました。
    自分はもともと俳優の動きに注目して芝居を観るほうなので、同じ脚本を異なる配役で観ることができるのはとても楽しめたのです。
    赤、白とも解説に書いてあるほど作品としての違いは感じなかった。
    現代を反映してか、とにかく女子が強い(笑)。

    ネタバレBOX

    横島裕と伊藤毅が主役・高橋とその友人・望月役を交替で演じるが、息の合った演技のキャッチボールが楽しい。同じ役を攻守ところを替えての役替わりは俳優にとっても大変勉強になると思うし、ご両人はふだんも親しい間柄だそうで、小劇場ならではの試みとして興味深い。高橋・望月のコンビは草食系男子らしく、とにかくよい意味で気持ち悪く可愛らしい(笑)。
    白組で私が観た回、伊藤が勢い余って横島を激しく突き飛ばしてしまい、客席にも一瞬ヒヤッとした空気が流れて芝居が止まった場面があったが、すかさず横島が素に戻ってアドリブで舞台を降りてユーモラスにやんわり伊藤に注意を促した。これはなかなかできないこと。私が子供のころ、舞台で鍛えたコメディアンにはこういう人も珍しくなかったが、横島はやっぱりタダモノではないと感心した。
    横島の高橋は、ちょっと神経質なところもあり、きっと仕事でもいろいろあって心底一人で過ごしたいと思っているんだろうな、と思わせた。一方、伊藤の高橋は、マネキンの触り方を見てもちょっとエキセントリックな危うさ(笑)を持つ人に見えた。
    赤組は厚化粧のリリー役のこまつざきさちこの怪演がとにかく面白く笑わせてくれる。それも単にヘンテコな人間を面白おかしく演じているのではなく、大真面目なリアリティーのあるおかしさだ。私は実際、リリーみたいな個性的な女性に出会ったことがあるので、思い出して吹き出してしまった。白組のリリー、矢野めぐみは無邪気で可愛い(笑)。
    天然キャラの真紀も松村絵梨(赤組)と清水恵理菜(白組)ではボケ具合が違う。野口役は、白組の中橋あゆ美の急病で、千秋楽は赤組の林弥生が演じたが、白では別人に見えたほどまるで違う印象だったのには感心した。キャバ嬢は、赤組のリリーを際立たせるためか、リリーを除き白組のほうが化粧がケバイ(笑)。
    重要な役、菊池は、赤組の藤岡勇、白組の熊谷祐弥、それぞれ強く印象づけられた。熊谷はバッコスの森、ノゲッツーで2度観ているが、そのつど印象が違う。
    菊池を慕う上田役は青山学院大学の2人、浜崎仁史(赤組)、太田旭紀(白組)でこれまた印象が違い、浜崎は愚直な後輩といった感じだが、太田は要領がよさそう(笑)。
    姉妹をめぐるミステリーなのだが、もうひとつ、高橋と生き別れの妹が真紀ではないかという謎が描かれ、ラスト・シーンに含みを残す演出に余韻があって良かった。

    0

    2010/10/06 09:59

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大