壁裏ジェンガ 公演情報 演劇創作館 椿楼「壁裏ジェンガ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度

    もっと立ててよぉ
    登場人物のほとんどにリアリティを感じず、魅力に欠ける舞台だった。
    人物の行動や言葉使い、また物語の展開が、作者自身の素養らしきものを飛び越えることなく一辺倒で。
    本人を直接知ってるわけじゃないけど、マンガとかアニメとか二次元の影響のほうが強いんだろうなと思わせるような仕上がりになっていた。若い。
    もっとナマの持つ力を知り、人間としての厚みを持つべきだ。

    ネタバレBOX

    幼なじみでもある野球部のバッテリーが「些細なこと」で仲違いし、一人は「記憶の壁裏」とやらに引き込まれ失踪してしまう。22年後、その行方を、こっちの世界に残った片割れの息子とその友人、そして当時の想い人を含めた3人で追いかけていくという内容。

    まとめてみればなんのこっちゃないシンプルな話なのだけど、やたらと差し込まれる場転や、遠回しなだけで核心のぼやけた会話、効果として成立していたのかどうか怪しいテキストのみのオープニング映像&どこかで見たような振り付けばかりをサンプリングした奇妙なダンスetc…がどんどん物語を見失わせていく。
    結末に関してはもう僕の理解の範疇を超えているので触れないでおこう…
    ただあそこでジェンガを強調するからには相当ひねくれた狙いがあってのことでない限り、観客を見くびっていることになりかねないので要注意。

    あとは仲違いの原因が本当に「些細なこと」すぎて、もう、残念。どんだけメンタル弱いんだよと。今どきのゆとり教育世代ならまだしも、22年前、昭和生まれの世代の話でしょ。もっとガッツあったと思うんだけどなぁ。
    他に2つ3つくらいは如何ともしがたい理由が重なってなきゃ、自分の未来やなにもかもを捨ててまで「あっちの世界」に取り込まれるには至らないのではないだろうか。
    絶望ってここまで希薄なものなんだろうか。自分の話を挟むのもどうかと思うがまだまだ酷い目にいくつも合ってきましたよこの三十男めは。このお話の彼のレベルで良いならば8歳の頃には「あっちの世界」に行ってたさ。

    …話を戻そ。
    作品の構成上、終盤には成長したバッテリーの片割れが登場するんだけど、
    これを演じる団長氏がナルシシズム全開で鼻について仕方なかった。
    22年前の同人物を演じていた岡本氏の役作りをガン無視して、クール一徹なデジタル人間に豹変。これにより失踪事件を当事者達がどう捉えていたのかについて意味合いが全く変わってしまう。
    「あ、結局のところ凄いヤな奴だったんだ」と解釈した人も多いんじゃないか?
    そう思われたらあの登場シーンでは作品的に困ると思うんだけどなぁ…
    (ここで出た「ファンタジー」発言もそれまでの物語をぶち壊しにしていたと思うんだけどこれは脚本なのかアドリブなのか分からないので置いておく)
    (同じく「成長後」を演じる想い人役の大森さんはそれなりに説得力のある作り方だった。そもそも22年前の同人物があまり明確に描かれてないせいもあるけど)

    その後のキャッチボールシーンは「俺、野球できますよ」感アリアリの所作をアピールしまくり、イケてる風のセリフだけをやたら張り上げたり(言い終えたあとのしたり顔もやめた方がいい)で、良く言えば抑制が効いていた周りの役者たちとの温度差がどんどん開いていく。
    これはある種のデウス・エクス・マキナを狙っていたのだろうか。

    話はさらにカーテンコールにも及ぶのだけど、あの並びはどう考えてもおかしかった。
    最前面に出るべきはずの鶴田氏(作・演出)が、後列に追いやられ喋り難そうにMCしていたのが印象的。
    彼が本来いるべき場所に陣取っているのは、やはりというか、団長氏。
    もうちょっと、彼のこと、立ててあげても良いんじゃなかろうか。


    さ、言いたいこと言っちゃったぞ。
    同様に言いたいこと言われる覚悟も完了だ。無論、芝居の話に限る。

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    2010/10/02 23:08

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