ぬいぐるみおじさんと夢みる鏡/パセリ農家の悲願2025 公演情報 レティクル座「ぬいぐるみおじさんと夢みる鏡/パセリ農家の悲願2025」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い。
    前説での話や当日パンフにも書いてあるが、頭を空っぽにして楽しめる作品 とある。確かに楽しめるが、やはり少し考えてしまった。本公演、短編「パセリ農家の悲願2025」と中編「ぬいぐるみおじさんと夢みる鏡」の2本立てで、異なる作風を楽しんでほしいと。劇団はナンセンスコメディを標榜しているらしいが、両作品とも或る共通した思いを感じる。ナンセンスコメディと言いつつ、強かな作品作りをしている。或る物や者の表層(見た目)と奥にある本質的なこと、その葛藤のようなものを描いている と思う。それを被り物や小道具を使い、笑いを誘いながら軽快に描く好公演。
    (上演時間 短編30分、中編60分、計1時間30分 休憩なし) 

    ネタバレBOX

    ●「パセリ農家の悲願2025」
    舞台は東京豊島区北池袋の小汚い定食屋。舞台セットはテーブルと椅子だけ。それも物語が進むと搬出し素舞台へ。定食屋の常連は、いつもパセリを残す。このパセリを擬人化し、茨城県のパセリ農家で育てられた「パセ・パセ男」はエリート野菜として出荷されたのに食べてもらえない。
    食堂ではエビフライやハンバーグの添え物、彩といった役割でしかない。客からは、苦くて不味いと不評。パセ・パセ男の妹分は自分の価値を認めるモノと諦めたモノがいる。しかし 台詞にもあるが、パセリは苦くても栄養価は高い。その外見(味)は不味くても、中身(栄養)は十分。

    ●「ぬいぐるみおじさんと夢みる鏡」
    舞台は埼玉県熊谷市のイベント会場。熊の被り物=マスコット(熊ったくん?)が出番待ちをしている楽屋に見知らぬ男が来て、司会の女性 典香に これを渡してほしいと封筒を置いていく。ひょんなことから、マスコットのファンである女性 鏡子と知り合い、恋をする。一方、鏡子はホストに貢いでおりという典型的な悲恋もの。マスコットの着ぐるみを脱いで、本人 中野になると 普通のおじさんで誰も見向きもしてくれない。マスコットの時は愛想を振りまくだけだが、人間の中野は鏡子のことを心配して…。見た目の愛らしさよりも、中身のおじさんの優しさが大切といったところ。ぶら下がり健康器具(キャスター付き)のようなものを鏡(大きな姿見)に見立て動き回す。そして、時に枠を潜り抜け違った視点で覗いてみる妙。

    両作品とも簡素な舞台セット(小道具)だが、躍動感ある物語にするためシンプルにしているよう。ほとんど何もない空間に、パセリという野菜でありクマのぬいぐるみが動き回るが、そこで感じるのは人の優しさ。また作品に共通しているのは、外見に惑わされず本質を見抜くことの大切さ ではなかろうか。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2025/04/20 20:03

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