修羅 公演情報 LIDDTHROUGHS「修羅」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    ㊗旗揚げ公演。
    短編8本を「修羅」というテーマで綴った公演。もっとも「修羅」というよりは「混乱」や「焦燥」といったイメージであり、女性の観点から描いているのが特徴。なお、演技(声量)なのか演出(音楽の被り)の問題なのか、いずれにしても台詞が聞き取り難いのが惜しい。

    それぞれの短編は、現実にありそうな場面ー人間的であり社会的ーを巧く切り取っている。1本ずつの長さは適度、それをサングラスをかけたストーリーテラーがオムニバス形式として物語を繋ぐ。何となくTV「世にも奇妙な物語」といった感じ。
    (上演時間2時間 休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術、はじめは 中央にソファとミニテーブルがある。物語に応じて小道具を搬入搬出し状況を作り出す。また特定の色彩照明によって動きを止め、修羅場の対象人物が独白する。

    タイトルと対象人物・内容は次の通り。
    1.オーディション
    小劇場歴10年の女優。深夜TVのヒロインのオーディションを受けるため、前日に知らされた台詞を覚えている女。わずか一言だが、どのように表現したらよいのか悩む。当日の面接演技で他の役者の台詞と違うことから焦る。開き直って自分の思いの丈を激白し…。
    2.合コン
    丸の内OL同期3人+後輩1人。合コンで、それぞれのタイプを目当てに集まった男を品定めする。後輩OLは、職場の人間関係を気にして先輩には逆らわない。しかし、合コンに来た男性が 皆その女性を気に入り、ついに後輩OLの本性が…。
    3.不倫
    不倫女。男の家のソファに2人。しかし、殆ど家具等がないシンプルな部屋。そこへ妻が帰ってきて不倫女を詰り慰謝料を請求する。夫である男は妻に土下座をして すぐに謝る。不倫女は開き直り、訴えでも何でもしてと言い残して去るが…。
    4.ストーカー
    優秀な女性社員。会社に知らない人物から荷物が届き、中身は刺激(エロ)的な女性用下着。会社帰りに知らぬ男から刃物を突き付けられる。こんなところで殺されてなるものかと必死に抵抗し、逆に男を足蹴にしている。その姿が女王様のような…。
    5.起業
    学生時代の友人2人。久しぶりに会った女友達の1人がアメリカで起業し成功。その話に刺激され 20年来の友達とネイルサロンを起業しようと。それぞれが資金を出し合い、物件の契約をしようとするが2人で立ち会えない。そこで1人に資金を渡して頼むが…。
    6.上京
    福井県に住んでいる姉妹(21歳・20歳)。東京には金が降っているという嘘話を信じ、自転車で上京する。夜の新宿 歌舞伎町、怪しい男に絡まれているところを或る女に助けられる。カリスマキャバ嬢のようで、その紹介で働こうとするが…。
    7.骨董品
    カリスマ鑑定人と従業員。商談ーエジプトの白磁の皿がカンボジアの密林で見つかって、という胡散臭い品だが、鑑定金額が2億。鑑定人の下で働いている女が誤って皿を割ってしまう。慌てて同じような品を探しに街へ。その糊塗の先に…。
    8.劇団
    劇団員。場当たり稽古、1人ひとりに演技・演出指導をし 翌日は初日。皆 意味ありげに帰路につくが、本番当日 電車が遅れ上演時間に間に合わない。そこで劇団主宰ともう1人で上演(けん玉)する。上演前の注意事項の1つに、何があっても白けないように…。

    修羅場という状況と心情表現を中心にしていることから、リアルな描写はしていない。例えば 合コンでは、酒ボトルの栓も開けず注いでいるなど。もう少し丁寧な演出があると好かった。一方、照明は外的な状況と内的な心情を巧く表しており効果的だった。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2025/04/20 08:57

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