実演鑑賞
満足度★★★★★
はじめて行ったマジェルカはとても素敵な場所だった。
入り口も素敵なら、中も素敵。でも、来月閉店するという。
そんな場所だった。
僕はマジェルカからはちょっとだけ離れたキチムでの初演もみたが、いっぽうでずいぶん人の少ないレアなこの公演は僕にとってはとても雰囲気の違ったものに見えた。
それは自分が都現美の坂本龍一展から直で行ったというのでもあるのかも知れない。
岸田國士のこの戯曲はとりわけ素敵だ。
他の昭和初期の映画的な山の手とか井の頭線沿線(この時期の演劇は住宅開発などでの宣伝も含んだものも多いのかも知れない)での夫婦間の軽妙で小気味よい良い掛け合いの演劇とは少し違うというのもあるのかも知れない。
他の演劇なら、この女優は田中絹代で、男優は誰とか、自分なりに思い浮かべながら考えられるが、この戯曲は少し違う。
コミカルなようでいて夢のような、そして愛のある舞台である。今回のまちなかに夢のようにあり、そしてもうすぐ夢のように消える愛のある場所でのがじら公演は僕にそのことを強く印象づけさせてくれた。
都現美での坂本龍一展で、夢十夜のテクストをもとにした映像があった。有名なテキストである、女の『百年待っていてください』というものである。僕は岸田國士のこの戯曲が夢十夜なのではないかと今回はじめて気づいた。