実演鑑賞
満足度★★★★
現代の日本からはちょっと想像しにくい遠く離れた時代と場所の物語だが、終始雰囲気を主導する音楽が素晴らしく、土っぽく乾燥したスペインの大地とそこに生きる人々の生活が目に浮かぶようであった。物語ははっきりした結末を否定し打ち切られるように曖昧なまま終わる印象。歌や踊りが入るので上演としてはロングバージョンの2時間超えだが、オーソドックスな演出で朗々と発せられるセリフが心地良かった。俳優たちの水準も高い。それにしても、主人公の女性はいったいどうしたいのかよくわからない人だ。解放や自由・自立といったイプセンのキャラクターに見出されるメッセージは感じられず、単なるマリッジブルーであるだけのように思われるが・・・