実演鑑賞
満足度★★★★
小学校2年生から27歳迄、その約20年間という長い時間軸を紡いだ女性2人の心の彷徨劇。たしかに 生活環境や生き方が違う2人の女性を描いているが、何故か1人の女性が立ち上がる合わせ鏡のような存在に思える。家庭環境・境遇という条件(物質)的違い、物事に対する思考(精神)的違い、その溝のようなものが年齢とともに少しずつ大きくなり、いつの間にか疎遠になる。学校やクラスが違えば、会うことも少なくなり といった経験は誰にでもあるだろう。そんな等身大の女性を描いている。
27歳迄の生き様は、順調・不遇といった対照的な描き方だが、その根本には(自己)承認欲求 その腹の底が透けて見えてくる。お互い、自分の方が自分らしく生きているといったプライドをちらつかせる。相手の中に嫌いな自分の姿をみる その不気味、不穏な感情が怖い。しかし共通点があれば独特・相違点もある。その違いを受容できるか否か を問うているような気がする。コロナ禍を経て不寛容といった風潮が広がったが、そんな世相を人間観察をするといった視点で捉えた好作品。
ちなみに、客席はL字型で座る位置によって観え方が違うかも…。
(上演時間1時間50分 休憩なし)