ボンゴレロッソ 2025 公演情報 A.R.P「ボンゴレロッソ 2025」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    聖淑高校4期生 3年 2組同窓会を12年ぶりに開催、30歳になる節目の年に集まった13人の悲喜交々を描いた青春群像劇。彼女達以外に2人の女性を加え、15人の女優による遠慮のない会話と演技が可笑しい。なぜ このタイミングで同窓会を行うのかが肝。

    その開催場所が 雇われ店長をしているイタリアンレストラン「ボンゴレロッソ」。店の店員が狂言回しを担い、冒頭 この店員が主人公になる女性を早々に明かす。と言っても、最後には別の女性の近未来(数日後)まで言及して…その意味では女30歳、まだまだ若いが それでも色々な事がある。

    本作では、たまたま高校時代に優等生であった女性に焦点を当てているが、誰が主人公になってもおかしくない。一人ひとりが卒業後から現在迄の状況を話す、この多様な人生経験が 観ている人の思いに重なるかも知れない。また女子高生の同窓会であるが、男性には男性の30歳が別の形で観えてくるのではないか。

    基本コメディであるが、高校時代の文化祭で披露した歌やダンスを交え、面白可笑しく観せている。そして世代間のギャップが時代を感じさせる。時間と言えば、同窓会に集まってくるたびに暗転/明転を繰り返し人数が増える。その時間差を巧く表しつつ、一度に名前や近況が掴めないことから 登場の仕方に工夫を凝らしている。見どころは、30歳女性の複雑な心情、そして12年ぶりの歌・演奏、ダンスを観(魅)せるところ。そのライブ感が実に気持ち好い。
    (上演時間1時間45分 休憩なし) 

    ネタバレBOX

    二面客席。奥に同窓会を祝す看板「聖淑高校4期生 3年2組同窓会 みんな おかえりなさい‼」の文字。そしてドラムセットが置かれているだけの素舞台。

    高校の担任教師が、もし店長が30歳になっても独身だったら結婚しようと、その言葉を信じて同窓会を開くことにした。その幹事はクラスの優等生だった相沢愛子が引き受けてくれた。12年ぶりに再会する友人、その現在の姿が観客(特に女性)の共感を呼ぶのではなかろうか。実家の商売を継いだ者、小学校教師、保険外交員、介護職員、広告代理店など色々な職業に就き、生活も 結婚し子だくさんの者、離婚した者など 様々。それぞれの職業や生き方をサラッと説明し、その職業の特徴を生かした物語が面白可笑しく展開していく。

    2つの<何故>が物語のカギ。1つは相沢愛子が集合日に現れない。2つ目は、担任の坂本先生も現れず、姪と名乗る女性が先生の近況を伝えに来る。同窓(祝う)会だが、相沢は消費者金融の取り立てから逃げている。実は エリート社員だが、仕事に行き詰まり、付き合っていた彼氏ともうまくいかない。挙句にパチンコに のめり込んで借金地獄。優等生ゆえ友達に事情を告げられず苦悩といった孤独感を募らせていた。一方、先生は入院して来ることが出来ないと との伝言だが、実は姪と名乗る女性と付き合っており、という顛末。登場しないことによって、どのような人物像の先生か想像させる巧さ。全体的に何事も順調とはいかない30歳、その哀歓を面白切なく描く。

    祝う会でもあり、そのサプライズを学園祭で披露したもの…バンドライブとチアリーディング、その練習風景から本番までを楽しく観(魅)せる。高校時代と同じ格好で行うため、セーラー服やレオタード姿へ。そして相沢愛子と坂本先生の夫々の事情が分かって大騒ぎ。最後はギター、ピアノ、ドラムなどの生演奏、そしてチアダンスを披露する。何となく予定調和ということは分かるが、それでも面白可笑しい展開は飽きることがない。いやぁ笑い笑いの連続で楽しめる好公演。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2025/02/22 17:08

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