実演鑑賞
満足度★★★★
妊娠時に「心拍とれました」と、出産時に「吸って吐いて」と言われた時に実感したすぐそばの命。そんな呼吸の刻みから始まり、それらはやがて音になり、音楽になり、そして演劇へと繋がっていくこの作品は、やはり一貫して生死を描いていたように思う。そして、音によって想起する痛ましい風景に息をのみ、傷ついた自分にもまた生を見た。
「自死」というモチーフが思った以上に強く、時に直接的な演出で打ち出されている作品でそれ相応のショックを受けると同時に、それら社会問題に対する危機感のようなものが色濃く忍ばされているのも感じて、持ち帰って考えるところが大きい作品だと感じました。
それはまさに、終わらぬ、答えのない物語。人の生と死の巡りとその問いかけこそが、”何時までも果てしなく続く”ものなのだという一つの着地だったのかなと思ったりもしています。