桜の園 公演情報 シス・カンパニー「桜の園」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    チェーホフはよく判らん。S席12000円⁉『江戸時代の思い出』が面白かったのと天海祐希さんを(多分)観たことがなかったのでこわごわと抽選予約に参加。当選してしまった。『桜の園』自体は観ているがそこまでハマってはいない。

    小間使いドゥニャーシャを野口かおるさんだと思って観ていた。途中、「そういや池谷のぶえさんも出てたな」と思い、「もしや!」とやっと気が付いた。そのぐらいキャラ変している。同じくロパーヒン(荒川良々氏)もやっと気が付いて驚いた。従僕ヤーシャ(鈴木浩介氏)もかなり後になって気付く。こんなキャラも演れるのか!?禿ヅラ被った大学生トロフィーモフ(井上芳雄氏)にも驚く。こんな贅沢な配役はない。わざとイメージと違うキャラを演らせるギャグなんだろう。
    それにしても女主人ラネーフスカヤ夫人(天海祐希さん)の登場シーン。スターのオーラ。思わず客席は拍手しそうになっていた。背が高くピンと立ち、誰よりも際立つ存在感。これはファンが付くわけだな。宝塚でトップを張るとはこういうことだ。
    家庭教師シャルロッタ(緒川たまきさん)のマジックもなかなかのクオリティ。老僕フィールス(浅野和之氏)も流石。屋敷の事務員エピホードフ(山中崇氏)の「ね」。隣の地主ピーシチク(藤田秀世氏)の借金をねだるクズっぷり。

    ネタバレBOX

    第一幕は人物説明で第二幕からスタート。舞踏会シーンで木目の扉が向こう側からライトを浴びると中が透けて見える演出が効果的。結局何も出来ないままパリの愛人のもとに帰る天海祐希さん。ずっと選択が出来ない。ただ時間が過ぎ去るのを待っているようだ。
    今回の『桜の園』も何か違って見えた。何が正解かは解らないがこれじゃない。クーラーをかけているのか?と思う程客席は寒かった。

    『桜の園』は滅びる美しさへの哀悼の作品。(今となっては間違った時代だったのかも知れないが)古き良き時代への郷愁。大して恵まれた環境でもなかったのにふと誰もが呟いている、「昔は良かったなあ」。人間の本能の物語。
    無学な農奴の息子、商人として時代の波に乗り金を稼ぎ捲るロパーヒン。今なら窮地に陥る主家の憧れの貴夫人を自らのアイディアで救ってやれる。彼女の養女とも言葉こそ交わさないが相思相愛だろう。全てを手に入れることが出来る筈。だが競売にかけられた土地と屋敷を落札したものの、皆は去って行った。手に入ったのは自分が手に入れたかったものとはまるで別物。これはどうしてだ?欲しかったものは“時間”だった。あの時の“時間”。そんなものどうしたって手に入れられる訳がない。手に入らないものを求めて悲しくなる話。

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    2024/12/24 06:35

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