明日、宇宙人になります 公演情報 劇団銅鑼「明日、宇宙人になります」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    昨年の試演会「ガラスの動物園」が良かったので、今年も観にいったが とても面白かった。説明の「人間が地球外生物になる?世界中が大騒ぎ・・明日、宇宙人になるかもしれないこの時に…」からSFを連想したが、もっと最近の出来事を描いているように思えた。未知ゆえに その対処法が分からず右往左往、そして混乱・迷走した施策を思い出す。

    とても劇団員補とは思えない演技、当日パンフを見ると他の劇団研究所出身者が多く、その実力は肯ける。登場人物は5人、それぞれのキャラや立場などをハッキリ立ち上げ、多様な人間性を描き出す。明日、宇宙人になるかもしれない不安・恐怖といった状況の中で、思い残したこと 気掛かりなことを味わい深く紡ぐ。究極的なことを言えば余命宣告されたような、しかし物語はそこまで追い込まず余韻を残している。試演会ということもあろう、最小限の舞台セットと照明・音楽で効果を出していた。

    宇宙人になります…大きな観点で見れば地球人も宇宙人。しかし、敢えて その違いの中に排他的もしくは差別的な意味合いが込められているよう。勿論「世界中から原因不明の痒みが報告されている。検査をしたところ、体内から検出されたのは地球に存在しないDNA」という件に関連してくる。私ごとで恐縮であるが、この検査とその後に係る業務に就いていたことがあり、とても考えさせられた。
    (上演時間1時間 休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台セットは、ビニールのようなカーテン幕で囲い、上手に折り畳みのテーブル1つ、ベンチ2つと いくつかの椅子。検査結果を待つ待機所といった所。地球に存在しないDNA、人間感染しないと言いつつ、ウイルス感染防止を思わせるような作り。

    地球に存在しないDNAの症状、体のどこかが痒くなり我慢できなくなる。一時的に痒みを抑える薬を服用することで症状を抑えている。その小康状態を保っている時の一夜の物語。そんな中、名を伏せて手紙を出そうとしている男がいる。しかし封筒に手紙は入れず、差出人名も書かない、しかも書留郵便。そこに どんな理由や意味があるのかが謎として、物語の成り行きに並走する。

    手紙を出し続けている男(親子)、会社のプロジェクトの成否が気になる男(社会人)、世界中を放浪している男(自由人)、宇宙人になった息子に会いたい女(母親)、そして待機所に詰めている男(組織人)…この典型的な5人が思い残したことなどを語り、どうなったか想像(orシミュレーション)する。特に手紙を出しているのは、仲の悪い父へ。書留郵便ならば必ず配達局員が受領印(サイン)を確認する。孤独死しても放置されることはない。一人ひとりが想像の話を繋げ紡いでいく。その時にスポットライト、そして優しいピアノの音が流れる。

    自分は、新型コロナウイルス感染症に係る出来事を連想した。陽・陰性の判定、その結果による隔離・入院までの過程のよう。連日、感染者数や死亡者数が報道され、有名人が亡くなると衝撃的な そんな状態が続いた。そして感染=秘密にしなければといった風潮があった。宇宙人になることが幸なのか不幸なのか。宇宙人が多数を占めれば良いのに という台詞が印象的だ。
    次回試演公演も楽しみにしております。

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    2024/12/15 15:23

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