実演鑑賞
満足度★★★★★
観応え十分。
この作品、演劇だけではなく小説で直木賞を、映画で日本アカデミー賞を受賞するほど有名なもの。つかこうへい作品らしく、登場人物の台詞は早口のようなリズミカルさ、それが心地良く響いてくるような公演。固有名詞を使ってリアリティ、そして今では敬遠されそうな差別用語が…。笑うに笑えないような台詞の奥に差別の裏返しのような素朴で温かい情愛が浮かび上がってくる。同時に屈折した心理を潜ませ、人のどうしょうもない理不尽さも描き出す。そこに つか作品の真骨頂をみたような。
舞台美術は素舞台、当然 役者の演技力が問われる。上演時間2時間(休憩なし)を飽きさせるどころが、舞台にくぎ付けだ。物語の舞台は 京都の映画撮影所。敬愛する銀幕スター銀ちゃんに、絶対服従の大部屋俳優のヤス、そして銀ちゃんが妊娠させた女優 小夏、この3人が主要な登場人物。銀ちゃんの命令でヤスは小夏を妻にし、銀ちゃんの初の主演映画のために、命をかけて「階段落ち」のシーンを演じるが…。この3人の迫力が迸り 情念が滲む、そんな圧倒的な演技力に観入ってしまう。同時に切ないといった感情が こみ上げてくるが、それを自分の拙い言葉で説明することは出来ない。ぜひ劇場で。
(上演時間2時間 途中休憩なし)【朋 組】