星降る教室 公演情報 青☆組「星降る教室」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い。深みある味わい。
    大自然、そしてノスタルジックで夢幻のような雰囲気が漂う中、或る女性教師の回想を通して紡がれる心温まる物語。青☆組公演の魅力は、物語に新たな息吹を吹き込んだような世界観(今回は宮沢賢治の世界観に呼応)を舞台美術や技術で表出し、観客の心を揺さぶるところ。そして発語を意識 そして大事にしたといった印象だ。

    今回は劇団初のクリスマス公演らしく、シンプルだが美しく、優しく、そして温かい雰囲気をしっかり演出していた。キャストはスカートやベストなど、どこかに格子柄がある衣裳で整える といった拘りもみえる。
    (上演時間1時間)

    ネタバレBOX

    舞台美術は正面奥の幕に電飾、その下にミニツリーや蝋燭が置かれている。色彩は、全て暖色の単彩だから温かく優しく感じる。中央には いくつかの丸椅子が置かれ場面に応じて動かす。上手にはト書きと演奏を担当する吉田小夏 女史が座る。
    ちなみに、役者は動き回り 時に椅子に上がるなど情況を表現(演技や歌唱)する。

    本作は、吉田小夏 女史が2016年にラジオドラマ作品のために書き下ろした物語、それを青色文庫の様式にして舞台化(朗読劇)したものらしい。

    教師の森山雪子(32歳)は、20年前に卒業した雫の森小学校の恩師から1枚のはがきを受け取った。それは卒業生代表として卒業式での祝辞を依頼するもの。しかし転校を繰り返していた雪子にとって、6年生の1年間しかいなかった雫の森小学校での思い出は断片的でしかない。雪子は、人間の言葉を話すウサギに導かれて だんだんと奇妙な世界へ誘われていく。雪子の記憶の底に沈んでいた、卒業式当日の出来事が…。

    園田喬し氏とのアフタートークで、オノマトペの駆使、マイクを使用しないこと、またテキストは完全に覚えるのではなく、例えば音楽で譜面を見ながら演奏するような感覚で朗読、といった興味深い話をしていた。そんな情感を大切にした朗読劇。

    宮沢賢治の童話らしいアニミスティックな世界観、そこに30歳代になった女教師のリアルな心情を持ち込んだようだ。転校を繰り返し 故郷らしき所がない。雫の森小学校は既に無いが桜の木が…確かに自分がいた場所がある。自然云々といった世界観と雪子の今の状況(暮らし)を照らし合わせ、忘れてしまった記憶の中に大切なものがあったことを気づかせる。そこに、このドラマの新たな息吹を感じる。
    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2024/12/09 16:19

    1

    0

このページのQRコードです。

拡大