俺が彼女を好きなことを神にすらきづかせない‏【公演終了】 公演情報 劇団鋼鉄村松「俺が彼女を好きなことを神にすらきづかせない‏【公演終了】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    ナンセンスとデカダンスが同居。
    十九世紀のフランスみたいな国の、
    終末観的なデカダンさえ漂うひとびとの群像。
    西洋の古典戯曲と現代劇を強引に同時上演しているようなミスマッチさに
    目を見張りました。
    どちらかといえば奇抜な雰囲気を醸し出す登場人物が多いのですが、
    秩序の保たれた会話で展開していくので、安心して楽しめました。
    ただ、上演時間が2時間10分(途中休憩なし)なのは、
    少し長いような気がします・・・。

    ネタバレBOX

    ある日『決闘介添人』の職を思いついた30歳でニートのギュスターブは
    一人目のクライアント、ランドルフの娘・ヒルダに恋心を抱く。
    彼女への熱い想いがほとばしるなか、戦争の影が忍び寄ってきていた・・・。

    ヒルダとの出会いから恋心を抱くまでに
    ヒルダの父・ランドルフと向かうところ敵なしの貴族、ジラルダンとの決闘と
    フランシスという貿易商とジラルダンの家来・ドルレアンの決闘の描写に
    多くの時間が使われるので、ギュスターブの恋はどうなったの?
    という関心ともどかしさに付き纏われました。

    小汚い恰好をしている一市民のギュスターブの父が
    実は貴族であったが自殺をしてしまった、とカミングアウトをしてからは
    物語が一気に加速して、うねりが出ていました。

    敵対する国の娘を好きになり、戦争によって引き裂かれてしまう・・・
    というとロミオとジュリエットを思い出してしまうのですが、
    あれほどまでに熱烈な情感もロマンティシズムもなく、
    ギュスターブの切ない片想い・・・、
    から進展しないラブレスには胸がヒリヒリしました。

    双方のどちらかが死ぬまで続けるのが『決闘』である、と主張する
    ジラルダンとそんな彼を仕えつつも矛盾を抱えるドルレアンの苦悩は
    よく伝わってきました。

    ジラルダンとランドルフの戦いをスクープした新聞記者のセドリックが
    十九世紀っぽい時代背景であるにも関わらず、
    その辺にいるサラリーマン風の出で立ちで語り口も普通、
    貴族のジラルダンは豪華絢爛な衣装に身をつつみ
    優雅な振る舞いをするその落差、とても愉快でした。

    できれば、ひとびとの、なにげない会話のなかから
    貴族と市民の生活様式の違いや、
    『名誉』のために戦う意味について、もうすこし詳しく知りたかったです。

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    2010/09/17 02:47

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