実演鑑賞
満足度★★★★
この二人の会話劇となると、濃密でひりついた芝居になる(そんな題材を選ぶ)だろうと予測はしていたがその色彩については想像してもイメージを結ばなかった。という訳で本番当日その開陳を待つ。
千葉氏は緩急の付け方は(男が女を落とす手管に似た)アプローチでどこまでも千葉氏であり、岩野女史はそうだこの切れ味だと思い出させる。そして二人が作る色彩的なものはやはり無かったのだが、舞台の内容的には十分である。「物語」を伝えたかったんだな、と思える。
歴史上実在した人物がモデルとなっているらしい事が途中で分かるが、その事からするともう片方についても恐らく・・。芝居中で語られた情報を手掛かりに探してみるか、と思っていたら、どうやら種明かし的な事がブログに書かれているというので後で見てみる事にする。
立場の異なる二人、やがてパードレ(父)と自身との関係が語られている事が分る。その関係によって自分自身という存在がよくも悪くも深く規定され、個人の存在の根源(父が不在であるケースも含めて)を形作るという洞察(旧約聖書の神はほぼ父的存在と言ってよい)に導かれるようでもある。
「なぜこの二人か」・・基本的にナゾであるが、最終場面である種の氷解が訪れる。