実演鑑賞
満足度★★★★
初めて観る演目、面白い。ご案内いただいた公演。
当日パンフに高円寺K'sスタジオオーナーの日下諭 氏が、つかこうへいが木村夏子さんへ書き下ろした作品で、観たことがある人がこの世に数百人しかいない文字通り幻の作品である旨 記している。
「蒲田行進曲」を小夏の観点から描いた青春物語。その小夏を木村夏子さんが一人芝居で熱演する。勿論 蒲田行進曲を芝居や それをもとにした映画鑑賞または小説を読んでいれば分かり易いが、この公演だけ観ても その面白さは十分に堪能出来る。当日パンフに、木村さんは つかこうへい劇団で学び 15年ぶりの再演とある。その長い空白の期間を埋めるかのような情熱的で心情溢れる舞台だ。
少しネタバレするが、冒頭 スクリーンで映画に関わる物語であることを表す。そして小夏が出生の秘密、母はテレサ・テン (中華圏での名前は 鄧麗君 〈デン・リージュン〉)だと明かすところから始まる。物語は、映画スターの銀ちゃん、銀ちゃんのためなら命も惜しくない大部屋のヤス、その2人の間で揺れる小夏の切ない愛が描かれている。公演の見所は 演技力。何度か衣裳替えのため 舞台上には誰もいなくなるが、そんな不在を感じさせないほどの高揚感と余韻を漂わせている。それを支える音響・音楽や色彩豊か・諧調する照明技術が巧い。それを日下 氏が担っている。
(上演時間65分)