瀕死の王さま Le Roi se meurt 公演情報 東京演劇集団風「瀕死の王さま Le Roi se meurt」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    興味深い演出
    東京演劇集団風の良いところは、劇団自ら主催するビエンナーレ国際演劇祭を通じて、海外の劇作家、演出家を発掘し、実際の上演により日本の観客に紹介してくれる点。これは、通常、公共劇場などが行っていることで、観る機会も限られてしまうのだが、KAZEは、レパートリー化しているため、何度でも継続的に観ることが可能である。
    今回の「瀕死の王さま」はイヨネスコ劇場の芸術監督・ペトル・ヴトカレウ演出で、かなり興味深い公演となった。

    ネタバレBOX

    栄耀栄華、暴政の限りを尽くした王さま「ベランジェ1世」(栗山友彦)は死が眼前に迫り、醜くも「生」と「王座」にしがみつこうとする。この演出では、権力と欲望に囚われた人間本来の姿を描くと同時に、「ロシア」という国家の擬人化を思わせる演出だった。
    心を許そうとしない第一の王妃マルグリット(柴崎美納)は米国、第二王妃マリー(渋谷愛)はフランス、侍医・外科医・首切り人・細菌学者(佐野準)はドイツ、家政婦・看護婦ジュリエットは東欧、歌舞伎のような動きの衛兵(白石圭史)は中国・日本のイメージを想定した。疑心暗鬼なところは「リア王」も思わせる。最初に登場した栗山の王さまは、チンピラみたいだった(笑)。柴崎の説得力ある演技、渋谷の愛くるしさに魅力を感じた。
    王さまの圧政を表現するため、政治的な歴史映像も効果的に使われていた。大臣たち(連邦国)に背かれ、領土が縮小してしまったというのもソ連を思わせる。
    フラットなオープンスペースで、客席を王さまの最期を見守る群集のように見立て、俳優たちが縦横無尽に駆け抜ける。
    なかなか死なない王さまの苦悶を延々描く2時間20分は確かに長く、あと20分は刈り込んでもよいかと思った。
    ただ、一般の小劇場系劇団や商業演劇とは一線を画する、これが「風」らしい演劇なのだとも思い、私は楽しんで観ていた。
    この作品、柄本明主演で9月下旬からあうるすぽっとでも上演されるので、より親しみやすい演出を好まれるかたにはそちらをお薦めしますし、興味のあるかたは観比べてみてはいかがでしょう。

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    2010/09/05 20:42

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  • きゃるさん

    いま、自分のをアップしたら、きゃるさんのレビューがちょい早くアップされていました。でもって、早速読ませてもらったら、自分が受けた印象と共通性があったので、嬉しくなりました。

    >なかなか死なない王さまの苦悶を延々描く2時間20分は確かに長く、あと20分は刈り込んでもよいかと思った。
    ただ、一般の小劇場系劇団や商業演劇とは一線を画する、これが「風」らしい演劇なのだとも思い、私は楽しんで観ていた。

    >柴崎の説得力ある演技、渋谷の愛くるしさに魅力を感じた。

    同感です。

    この感じ、全く同感です。たしかに、一般の小劇場系劇団や商業演劇とは一線を画する、これが「風」らしい演劇なのだと思えました。

    2010/09/05 21:32

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