「オイディプス王」「タイタス・アンドロニカス」 公演情報 劇団山の手事情社「「オイディプス王」「タイタス・アンドロニカス」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    まばたきを忘れるほど堪能。
    やっと観る事ができた。
    しかもシビウ演劇祭で絶賛された作品「オイディプス王」観劇。
    初見がこの作品で良かった。何もかもが好みだったからだ。

    苦節十数年。仕事が忙しすぎだったり、日本にいなかったり、
    公演がすでに終わってしまっていたり、、。
    いつもすごく変わった美しく妖しい福島治氏の宣伝美術に心奪われて、
    観たかったのに観る事が叶わなかった「山の手事情社」。

    ずっと観たかった独特の美、力強い世界感を堪能。
    これが、山の手事情社の「四畳半」といわれる形式なのか。
    私の想像していた世界をはるかに超えていた。
    暴力的な動きから生まれる爆音・肉体の苦痛、
    さらに押し殺した苦しそうな静の動き。
    そこに精神の苦痛がシンクロするかんじ。
    完全にひきこまれた。まばたきを忘れるほどに。

    前説に主宰・脚本・演出の安田雅弘さんが登場。
    古典ギリシャ神話とは、『オイディプス王」のストーリーとは、
    今回の作品をつくった背景、シビウ演劇祭の話をしてくださった。
    この有意義な10分のおかげで、かなり作品が観やすくなった。

    古典ギリシャ神話『オイディプス王」に、
    現代女性(東京の人)の心の病巣シーンを挿みこんでいる。
    しかし「オイディプス王」のストーリーは完全な流れで進んで行く。
    ものすごくおもしろい脚本。

    好き嫌いははっきり分かれると思うが、見て損はない。

    男性陣演じる黒装束の「運命」たちが恐ろしく、かっこいい。
    中でも盲目の予言者テイレシヤスの山本芳郎氏がなにしろ最高!必見!

    ネタバレBOX

    センターに四角い柱で組まれて白い紗が所々かかったの白い部屋。
    白いモニターが一台だけ。
    柔らかそうな布で覆われたベットマットのような床。
    白い服の女(東京の人)がスリッパをペタペタいわせて左右から。
    たくさん白い部屋にスリッパを脱いで上がって来る。
    白い服の女(東京の人)現代は
    ちょっとアンニュイでコミカルでもある。
    皆、ほっぺたを化粧水をつけた後のようにペタペタとたたきながら。
    その後、ゆったりすごして静かな寝息をたて始めると、、、

    両サイドの真っ暗な中から重低音とともに白い女とは全く反対の
    黒装束に身を包んだ男性陣「運命」が大人数現れる。
    恐ろしく、かっこいい。
    暴力的な動きと床に身体を叩き付ける爆音に度肝を抜かれる。
    鍛え抜かれていなければたぶん大ケガだろう。

    センターの白い部屋から白い女を連れ去り、
    『オイディプス王」の配役をはじめる男性陣黒い「運命」。
    そして再び白い部屋(宮殿)に何人か戻される。
    モニターの上にたたされる女。
    それが「オイディプス王」であったり宮殿の人物になる。

    『オイディプス王」は迫力あるものすごく太い声で
    白い女=東京の人=女優が演じる。押し殺した苦しそうな静の動き。

    そして物語は語られて行く。

    変わった所では、白い服の女(東京の人)の潔癖性問題の表現が
    おもしろい。頭からビニールをかぶってキスをする。ビニール越しだ。
    潔癖性だからだ(笑)皮肉たっぷりの表現。他にも幼児虐待問題を
    グレープフルーツを子供に見立て表現したりおもしろかった。

    それから、何度もべた褒めするが、ずば抜けて
    盲目の予言者テイレシヤスの山本芳郎氏がなにしろステキで、
    一度観てしまったらずっと目で追ってしまう。最高なのです。
    声が良い。そして目の演技が何しろすごい。緊迫した恐ろしい目。

    なんであんなにすごいのかと一日考えたのだが、、
    瞬きを全くしていないのだ。彼だけじゃない。俳優陣みんな。
    ほとんど瞬きなしだ。後半の異常なまでの目のかんじ、、間違いない。

    「オイディプス王」の山本芳郎氏をもう一回観に行こうかな。

    「山の手事情社」もう二度と見逃さない!

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    2010/09/04 04:13

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