実演鑑賞
満足度★★★
タイトルとチラシのイメージでかなり陰々滅々たる作品を想像していた。若松孝二監督・内田裕也主演の『水のないプール』は「仙台クロロホルム連続暴行魔事件」の映画化だった。しかも劇団名フィータルは胎児の意味。現実に窒息しそうな者達の喘ぎ声叫び声過呼吸SOSをイメージ。
コロナ禍の地方病院で実際に勤務していた作家のリアルな体験記。開演前と終演後に挨拶した作家(ジェシカ)さんは惣田紗莉渚っぽい、ほんわかした人。舞台が開幕するとミュージカルのように踊りながら笑顔で役者達が舞台美術をセット。愛知県豊橋市の三河弁が炸裂する。5年一貫看護学校を卒業するニ人、看護師国家試験に合格出来るか不安。二人共見事合格。安齋彩音さんと赤石さくらさん。配属された病院に待ち受ける厳しい新人指導担当の山本蓮さん、主任の宮本順子さん。主任の娘の同期にさとうあかりさん。男性看護師の関秀斗氏は陽キャなパリピ。研修医の坂本七秋氏も同期。これが普通に日常をめくるだけなのだが妙に面白い。特に何の事件も起きない。明るくて好感の持てる作風は東京向き。かるがも団地みたいに支持されそう。多分次来る時はもっと観客が期待大で待ち構えている。
夜、スナックでバイトしている安齋彩音さん、そこのママの渡邉理衣さんがいい味。凄く既視感があったのだが思い出せなかった。
宮本順子さんは宝塚顔。
関秀斗氏はありがちなキャラだがハマリ役。バカっぽさとパチンカスが嫌味にならない。
赤石さくらさんと坂本七秋氏のエピソードも巧い。
私利私欲を感じさせるキャラが全く出てこなかったことが観劇後の爽快感に繋がったのかも知れない。
面白かった。