実演鑑賞
満足度★★★★
駅で保育園の先生に「お出かけ?」と聞かれ「観劇に」と答え「今から?!」とまず驚かれ「21時です、でも炊飯器でお米炊けたら終わるから長くなくて」と伝えたら「えっ、ちょどういう」となり「しかも早炊き」と言ったあたりから先生が無になる、などを経て観てきました(笑)
その名も、炊飯器でお米を炊いて炊けたら終わる演劇『夏の毛になる』です。
(通常と早炊き迷いつつ、コンプソンズの鈴木啓佑さんが出る日に!しかも初日だ!というのもあり早炊きに。)
好きな人に選ばれなかったことがある人、そのことで長く苦しんだことがある人と感想を分かち合いたい。そう思った。
基本的には可笑しくかわいらしいお話だけど、私はきっちり切な痛い苦しかった。
終盤内藤ゆきさんがずっと泣き出しそうな気がして、それは目がうるんでるとか赤いとか肩が震えてるとかそういうんじゃなくて、佇まいから受信する何かで。そして、それは多分自分の心理状態とも連動していて。こういう瞬間に俳優ってすごい仕事だなって思う。演劇観ていてよかったと思う。そのために観てるのかなとか思う。
夏の終わりの侘しさと恋の終わりの寂しさが肩を寄せて励まし合っている。そんな演劇だった。
それこそ米を炊き子どものご飯つくってから観られるのもありがたかったな。もちろん早炊きで炊いた。
「泣きながらご飯食べたことある人は生きていけます」(ドラマ『カルテット』by坂元裕二)という言葉も響くけど、きっと泣きながらご飯食べているんだろうな、という風景がその人の背後に浮かぶお芝居も強く心に残る。つらいときこそご飯炊いて生きていきたい。