good night pillow 公演情報 演劇研究会はちの巣座「good night pillow」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    彼女のかかえる想いとは。
    私たちが知識として認知している戦争とはいかなるものであるのか。ということについて、真摯的に取り組んだ作品であった。
    登場人物のそれぞれの視点から夢、現実、記憶が交錯するストーリーの着想は小劇場で上演されていてもおかしくないとすらおもわれるほど、非常によく練られたものだった。
    若干、詰め込み過ぎてしまったかな、と感じる箇所もあったので、もう少しタイトに演出することを心がけると同じ作品でももっと洗練されていくのではないかとおもう。

    ネタバレBOX

    二発の爆弾が投下されたある日。
    ゴミ捨て場からひとりの少女を拾ってきた亮二は彼女にミヤコと名付け、ふたりは恋人同士のように戯れていた。幼い頃に肉親を亡くし、兄を何者かに殺された天涯孤独の亮二には、ミヤコだけが希望の光だった。

    そんな亮二を咎める夫妻は亮二の兄を殺した張本人たちであるのだが、亮二は兄を殺した罰として、自分の保護者になるよう言い渡したのだった。ふたりに反抗的な態度を繰り返す亮二だったが、それも愛されたいが故の衝動だったのだろうか。

    一方、地上戦が激化しはじめた市街地では人々が逃げ惑う。その時の『記憶』彼女のなかに眠る『戦争』を反芻するミヤコ。そんな彼女の姿をつきとめて群がる群衆…。

    彼女は敵陣営のミサイルだったのだ。亮二と孕んだ子ども=核爆弾を出産し終えた彼女は十字架に磔にされて死に、ミサイルは生きる…。

    二発の核爆弾=ヒロシマ・ナガサキの原発をモチーフを描くこと自体、かなり難儀なことであるかとおもうのだが、独自の注約を入れ、茶化すでもなく肯定するでもなく、ましてや変に同情を誘うのでもなくあくまでこれでよかったのだろうか?と『疑問』として投げかけた点が、非常にスマートであると感じた。
    賛否両論はあるかとおもうが、わたしはこういう描き方はなるべく否定はしたくないです。

    実は一番気になったのは、何故か(←関西の劇団はおもしろい、という勝手なイメージ先行につき)ギャグが全然おもしろくなかったこと。
    特に、戦隊員らがケチャップを血にみたてて掛け合うシーンとか。正直、失笑すらできなかった。あんな中途半端にやるくらいなら、やらなきゃいいのに、とすらおもった。なので個人的には戦隊員のすべりギャグ(?)がてんこ盛りのシーンは間延びしているようにおもえてしまったのが正直なところ。

    それから気になったのは、所々で使われる『夢』という語彙。あんまり使い過ぎると、幻想的なイメージが崩れます。なるべく『夢』という単語を使わずして『夢』であることを表現してほしいです。
    照明を切り替えたり、ダンスを取り入れたりするだけで同じシーンでも大分変わってくるかとおもいます。
    終盤はその辺りのことがとてもスムーズだったので、物語にのめり込めました。
    特に、おはじき、赤い糸などをそこら中に撒き散らしてミヤコと出会ったあの頃をファンタスティックに描いたあのシーンは、時計を刻む音も相まってとても刹那的ですてきでした。

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    2010/09/01 05:32

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