8人の女 公演情報 劇団しゃれこうべ「8人の女」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    1950年代のフランスの郊外、かつて成功を収めた実業家マルセルの屋敷。大雪が降り積もる中、ロンドンの大学からクリスマス休暇で帰郷して来た長女(一歳ナンギさん)。笑顔で出迎えるのは乳母として彼女を育てた女中の安田美忍(みお)さん。新人女中の原島千佳さんはやる気がなく不貞腐れている。気位が高くきつい物言いのマルセルの妻、和泉美春さん。高校生の次女、與儀千聖(よぎちとせ)さんは精神年齢が低くまだかなりガキっぽい立ち居振る舞い。
    妻の母親と妹が居候、車椅子の眞野さよさんと持病持ちでオールドミスの田村祐子さん。
    なかなか起きて来ないマルセルの部屋に入る原島千佳さん、血塗れのベッドの上でうつ伏せに横たわり背中にはナイフが突き刺さっている。悲鳴絶叫。皆がその様子を確認すると與儀千聖さんは部屋に外から鍵を掛ける。「警察を呼ぶまで現場をこのまま保存する」と。番犬が全く吠えなかったことから犯人は侵入者ではなく、この中にいる可能性が高い。疑心暗鬼の7人、そして8人目の女もやって来る。

    ネタバレBOX

    いよいよ訪れる8人目の女、マルセルの妹の鈴木佳さん。彼女しか知らない屋敷の者達の裏の顔。電話線が切られ雪で屋敷の外には出られず番犬は毒殺されマルセルの部屋の鍵はすり替えられ拳銃は紛失。迫り来る死の恐怖に怯え周りの人間全てを疑ってかかる8人。

    個人的MVPは安田美忍さん。何か複雑な表情が文学。彼女の存在が場を作ることに重要で、後半いなくなってから空間がフラフラしてしまう。
    原島千佳さんはそうとは気付かない程、色気のある役をこなしていた。
    和泉美春さんと鈴木佳さんの二股かけられた女の罵り合いも見せ場。

    普通に面白いのだがどうも話が頭に入って来なかった。演出の切り取り方を間違えたような。重要なのはフーダニット(犯人捜し)ではなく、緊急非常事態の状況に追い詰められた人間達が曝していく本性。恐怖と焦燥に苛つき、上っ面の社会的役割の仮面を放り捨てていく素顔の遣り取り。今まで役割として演ってきた人間関係を引っ剥がしていく面白さ。
    フランスの劇作家ロベール・トマの1961年の戯曲。63年前のどんでん返しネタでは流石に誰も驚かない。観せるべきはそこではなく、8人の女優の血反吐を吐いた取っ組み合い。誰もが誰もを罵倒し憎み嘲り、その内に一周回って妙に清々して解り合う。全く理解出来なかった“他人”という自我との奇妙なる連帯感。その後に現われる真実。他人は鏡だ。自分の醜さを映し出す鏡。

    昨晩の各々の証言を時系列に再現させてもよかった。段々嘘がバレて食い違っていく面白さ。
    「誰がマルセルを一番愛していたのか?」「それは私だ!」と與儀千聖さんが胸を張ってドアを開けた瞬間、響き渡る銃声。その絶望感。與儀千聖さんのキャラをエキセントリックに描き過ぎていて観客の気持ちがついていかない。

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    2024/09/16 15:53

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  • ヴォンフルー様、いつもご来場いただき、誠にありがとうございます!前回、前々回とは毛色の違った作品への挑戦となり、私共も悩み必死で食らいついた今回でした。
    いつも細部まで観ていただき、誠にありがとうございます。今後とも劇団しゃれこうべを何卒宜しくお願い致します!

    2024/09/19 07:49

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