アダルト≒チルドレン 公演情報 表現集団 式日「アダルト≒チルドレン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    問題意識と熱い思いのようなものは感じられるが、もう少し丁寧な説明というか展開があればもっと良かった。タイトル「アダルト≒チルドレン」は 感覚的には分かる気がするが、実は「大人」とは…「子供=劇中では<こどな>」とは…を定義することは難しい。年齢の区分によって形式的に行政が定めることと違い、その実質を問う内容になっている。

    説明の「作家が人を操る力を持つ世界」…しかも<国選作家>というところに怪しさと怖さを覚える。何らかの恣意的な思惑や作意ある施策が潜んでいるように思えるが…。作家が書(描)く物語(世界)によって、より良い方向へ導く、そんな<力>が国選作家にはある。その一端を台詞で説明するが、その過程が描かれないため、説明にある「大人になるために 免許証が必要な町」での物語が、その町の人々と国選作家の個人的な話(レベル)へ矮小化したようで惜しい。

    説明の「脚本通りに操る苦悩と救済。誰もを救う物語は、存在するのか」という問いは、子供に限らず、何も考えずに国是を鵜吞みにする国民への問い掛けではないか。
    (上演時間1時間40分 休憩なし)9月17日追記

    ネタバレBOX

    舞台美術は、後景全面を張り合わせた抽象画(上手側にチルドレン、下手側にアダルトの文字板)のようにしているが、何故か上空から見た街というか空中地図のようにも思える。その前に台(直方体)、下手にソファが置かれている。

    物語は作家が人を操る力を持つ世界。冒頭カンコ(樹サン)とハスミ(佐伯啓サン)が作家として活躍することを目指す、そんな語り合うところから始まる。時は流れ、国選作家として活躍するカンコは、助手と共に閉ざされた町を訪れる。その町は 大人になるために<免許証>が必要。そして大人になれない「こどな」達が多く住んでいる。公演は、脚本通りに操る苦悩と救済、誰もを救う物語は存在するのかを問うている。

    作家の脚本によって人生が変わる、もしくは変えられるという妄想劇。この町には、大人になれない こどな達の自立を促す、その救済補助金が国から給付されている。町の為政者は その補助金を行政財源にしており、一方 こどな達は居心地の良い環境(義務も責任もない)で暮らす。どちらにもメリットがあり、状況を改めることには消極的だ。カンコの こどな達の過去を暴く脚本によって少しずつ状況に変化が…。

    こどな達の過去、そしてカンコ自身の忘れていた過去、そこには虐め問題が潜んでいた。大人=社会人になる怖さ、そこには行動と責任、権利と義務という<自立>することが待っている。それは利害関係が絡む対人関係の煩わしさ、もっと言えば怖さがある。そのことから逃避したモラトリアム的な世界観が描かれている。その問題意識のようなものは伝わる。

    作家が描く物語は、歴史もしくは自分史を紐解くことによって、今に至った現状を再認識する。舞台的には回想シーンとして描く。この町に来る時、助手が今まで脚本で解決してきた問題を列挙していたが、その中の1つに戦争・紛争の終結があった。今 世界中のどこかで起きている最悪の不条理、それを どのような脚本で解決に導いたのか。例えば、その手法(脚本)を観せ この町の問題解決のヒントもしくは繋がりがあれば解り易かった。その意味で もう少し説明シーンが欲しいところ。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2024/09/14 10:26

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