満足度★★★★
自然体!狂言によるチェーホフ劇
大蔵流茂山家の若手狂言師たちは、ライブ感覚で狂言を若者に広めた第一人者的存在といってよいだろう。今回も会場の前3列目くらいまでは熱狂的な若い女性ファンが占めている。野村萬斎や鵜山仁と組んで不条理劇にも出演してきたが、芸術寄りのスタンスではなく、手の届くところで何かやっているという親近感がある。
チェーホフ原作の「ぷろぽおず」と古典の「鎌腹」の2作を上演。両者に共通する雰囲気を感じ取ってもらい、古典の狂言にも親しみを感じてもらおうという、茂山家らしい思惑がある企画。
茂山家の公演というのは、国立能楽堂の定期公演などを除き、新作・古典問わずたいてい出演者のトークが付き、小劇場劇団のように物販や客の送り出しも全員でやるので、今回もそれを期待していたファンが多かったようだ。
が、今回はそれはなかった。あうるすぽっとのチェーホフフェスティバル参加作品ということで、ふだん狂言を観ない初見の客も足を運んだかもしれず、いつものように、解説を兼ねたトークがあってもよかったように思う。
チケット代は少し高すぎるのでは。短編劇だし、客層を考えてもう少し安くしてほしい。