実演鑑賞
満足度★★★★★
「不思議の国のアリス」を戦前日本に設定を変えて翻案した話をベースに、数学者にして革命家だったガロアを絡めて、緻密に織り上げた脚本である。
耽美な世界を作っていた。客演に申大樹の姿が。貴族紳士風なビビッドな役どころに嵌まり、キャスティングの妙という所もあるが、私的には何より耽美的で哀切さや混沌の世界観に包み込む楽曲が良かった。凡そ三つ程の相の異なる楽曲(歌付きのもあり)がドラマの風景に変化と情趣を色濃く与えていた。
ザムザ阿佐谷の舞台をやはり縦に高く使い、動的にもダイナミックで躍動感がある。装置や小道具で「不思議の国」感を醸し、人物たちのキャラも寺山修司世界に通じてシュールを体現。高取英戯曲は三本目。